TZ 7162:Jamie Saft "Breadcrumb Sins"(2002)

 多重録音を基本に、ゲストが味付けを施した無国籍な世界だ。

 プロデュースはもちろん、録音とミックスもジェイミー・サフト自身。デモテープを連想させる安っぽさはないのだが、どうにも取っつきづらいサウンドだ。

 両極端のアレンジ。みっちりと詰め込んだ音数か、ぐっと抜いたスケ感を出す。ジプシー風の切ない旋律を漂わせつつも、コラージュ的に断片の多様な表情が強い。
 ビートは希薄でふんわりモコモコと抽象的な楽想が続く。緩やかで奇妙な緊張を持つラウンジ風味か。幻夢でコンパクトな世界が開けた。
 今のところ、彼の音楽の狙いがつかめていない。

 数曲のボーカル入りも歌メロを聴かせるより、まるで劇伴みたい。サフトの趣味性がすごく前面に出てる。(6)での打ち込みテクノみたいな音像も、どこか夢見心地だ。ドラッギーだが、酩酊感やエレクトロニカ狙いでなく凛とした目線を感じる。ダンサブルさとも違うベクトルを感じた。
 メロディがうっすらあるものの全体的に希薄なため、どうもとっつきづらい。決して独りよがりでなく、難しくも親しみやすい尖った音楽性と思うのだが。

 どこか、けだるい雰囲気漂う。(7)のターンテーブルによるダブ風の処理や、すっきりしたバックに、たるっと歌う(8)のアレンジから連想か。脱力プログレなムードもわずかに香る。
 多重録音の密室性が、あまりいい結果を出してないのかも。まさに内省的で自己完結な風景を描いている。特にリズムが弱い。だれか専門ドラマーを入れたら、大きく味わい変わったろう。

 なおサフトのインタビューがあった。本盤やジョン・ゾーンとのかかわりも言及してる。

Personnel:
Jamie Saft - piano, Hammond organ, synthesizer, electronics, steel guitar, dumbek, saz, dubs, turntables, percussion, vocals
Mr. Dorgon - turntables (track 7)
Rob Haggis - percussion (track 6)
Chris Kelly - guitar solo (track 3)
Rick Quinones - vocals, guitar, effects (track 3 & 9)
Vanessa Saft (tracks 7 & 8), Antony (track 5) - vocals

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