Curtis Mayfield 「Roots」(1971)

 したたかさを増し、ライブで鍛えたバンドでリズムを固めた傑作。


 カーティスのソロの流れとしては、本来は1stの後にライブ盤が出ていた。これも非常に重要な意味がある。すなわちインプレッションズとの決別や1stのライブ解釈の披露、敢えてステージでの躍動感を披露したかったであろうカーティスの意思表示など。
 だがちょっとそれらは脇に置いて、ここではスタジオ作2ndとなった本盤への感想を書いてみたい。

 なお録音メンバーは前ライブ盤と同じ、カーティスのソロ・バンドのメンバーだ。ライブ・ツアーで結束力を増し、おもむろにスタジオ入りしたのかも。
 ただしコンボ編成ではなく、弦や管のダビングで豪華さを出す手法は1stソロ譲り。すなわち1stの豪華コンセプトは踏襲しつつ、よりライブに肉薄したスリルも投入した。

 ちなみに前ライブ盤での新曲群("I Plan to Stay a Believer"、"Stare and Stare"、"Stone Junkie")はいずれも本盤に収録無し。前作の差別化と、新鮮味を本盤で表現した。

 責め立てる性急な(1)から、吸い付くようにいきなり甘く畳みかける(2)の流れが、特に好き。本盤でカーティスは政治的な主張はちょっと和らぎ、甘い雰囲気のコーティングをさらに分厚くした。耳障りは良く、奥に芯の熱さを秘める。

 本盤はカーティスの歌を目立たせる極端なバランスは変わらないが、バッキングもだいぶ丁寧にミックスされた。1stが吹きすさぶ豪風としたら、本盤は帆を大きく膨らます貿易風のよう。・・・よくわからない例えだな。
 つまりリズムはテクニックでなく、シンプルなフレーズを相互に演奏しあい、アクセントの多層性で流れを作った。着実なグルーヴが頼もしさを演出する。

 (4)のしなやかな躍動性も魅力的。メロディアスな弦のフレーズが、彩りよく曲を飾り、ホーンとコーラスの厚みにアクセントの強いリズムに飾りのパーカッション。ベースがうねりながらフレーズを重ねる。つまり1stとよく似たアレンジだが、さらに洗練した。
 隙の無い名曲だ。本盤からの3rdシングルでR&Bチャート32位の小ヒット。他2曲(1と5)に比べても、特段するヒットではないが。
 
 (5)は、カーティスの硬質さが綺麗に表現された。弦や女性ボーカルとのミックスは寄って近まり、ファルセットと演奏の音域がスッと分離して聴こえる。
 互いを盛り立てつつ邪魔しないバランス感を意識しつつ、カーティスの鋭い切迫感を弦の風や継続するリズムの雰囲気で表現した。さすがシングル曲。R&Bチャート45位とヒットしなかったが。
 
 しかしHenry Gibsonのパーカッションが溢れ、Tyrone McCullenのいなたいリズムが絡む、ビートのアレンジは気持ちいい。慌ただしくも分厚く頼もしい。
 不安げなムードの(6)はTyrone McCullenのドラムのみでオケを支える。それが不安さを煽る一つの理由かも。切なくタイトル・フレーズを、執拗にカーティスが繰り返した。やがてコンガの転がりがボリュームを上げてくる。すっかりオケにパーカッションが溶け込んだころには、全体ムードは変わらぬのにアンサンブルの安定が抜群に鳴った。

 (7)は甘いムードが心地よいミドル・テンポ。1stでもそうだったが、カーティスはアルバム最後に穏やかな曲を持ってきて、余韻を楽しくまとめる。逆にこの手の楽曲をシングルにせず、あくまで硬質な主張を名刺にしてた感あり。
 だが甘さを前に出した後年の作品が、商業的に炸裂したわけでもない点からみると、カーティスは時代の切迫感こそが市場に求められていたのかも。

 あとからでは何とでも言える。横に置いて、カーティスを聴こう。(7)でのカーティスは、力強い希望を細い歌声にしっかり込めている。ボーカルを補完する音域で楽器を立てるアレンジも見事だ。

Track Listing:
1. "Get Down" - 5:45
2. "Keep On Keeping On" - 5:08
3. "Underground" - 5:15
4. "We Got to Have Peace" - 4:44
5. "Beautiful Brother of Mine" - 7:23
6. "Now You're Gone" - 6:50
7. "Love to Keep You in My Mind" - 3:48

Personnel:
Curtis Mayfield - vocals, guitar
Craig McMullen - guitar
Joseph "Lucky" Scott - bass
Tyrone McCullen - drums
Henry Gibson - percussion
Leroy Hutson, Michael Hawkins - background vocals
Johnny Pate, Riley Hampton - arrangements


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