Sonny Rollins 「Plus 4 」(1956)

 怒涛の躍進な一年が始まる。その幕開けだ。

 ロリンズはこの年、6枚のリーダー作を発表した。どれもが傑作ぞろい。代表作にいまだ上がる、"サキソフォン・コロッサス"もこの年。
 本盤は同い年のクリフォード・ブラウンを招き、双頭コンボの路線でじっくりジャズを提示した。ドラムとベースは前作から引継ぎ。Richie Powell(p)はブラウンとローチが組んでたバンドのメンバーとある。ブラウン人脈か。バド・パウェルの実弟。
 つまりはブラウンのバンドを招いて自分のソロを作ったよ、って意味で「+4」がタイトルか。

 (1)はどこか鷹揚に構えた。ゆったりとフレーズを重ね、ゆとりと余裕を感じる。ローチもむやみに音数を増やさない。けれどスネアを片手で乱打するフレージングを使い、ビートを揺らすのは意地か。
 だが(2)でロリンズ節の前のめりさが出てきた。丁寧にテーマを整え、まずはブラウンからロリンズへ。ソロのスポットを入れた後、おもむろにロリンズの長尺ソロが始まる。
 タンギングとスラーを使い分けた節回しは、いくぶんスラーが多いかな。流麗に次々と音符を重ねた。だが吹きっぱなしでなく、時折に休符入れ大胆に方向転換するロリンズならではの物語性あるソロは片鱗を見せた。
 
 (3)の演奏が素晴らしい。鋭く滑らかなテーマで離陸し、スマートにアドリブへ流れた。ブラウンは端正に、ロリンズは粗削りにソロを取る。歯切れ良いピアノのバッキングが、浮き立つムードを強調した。和音展開の華やかさもいいな。オリジナルはJimmy McHugh作曲のスタンダード。
 するする流麗にフレーズ紡ぐブラウンに釣られたか、ロリンズは勢い一発でスラー多発のソロが目立つ。
 
 (4)でも上品なアプローチ。甘く滑らかなテナーの音色は、うっすらとサブトーンあるものの整った響きだ。柔らかなリードで伸び伸び吹いてるかのよう。
 続いての階段を下りてくようなピアノ・ソロの、畳み込むフレージングも気持ちいい。フェイドアウトみたいにあっさりと終わる。なおこの曲だけ、ブラウンが参加してない。

 (5)はうっすらとラテン風味。ぴたり吸いよるピッチの合った二管の響きが心地よい。ブラウンは丁寧に回転するようなソロ。中心を置き、メロディをぐるりと様々な線で回転させていく感じ。
 最後のブラウンのフレーズをそのままなぞり、ぐっとロングトーン。考え込むような一瞬から、おずおずとフレーズを展開させる。この大胆で独立独歩なロリンズ節が良かった。この曲でも、アドリブ交換自身にドラマがある。



Track listing:
1.Valse Hot 8:33
2.Kiss And Run 7:07
3.I Feel A Song Comin' On 5:11
4.Count Your Blessing Instead Of Sheep 2:29
5.Pent-Up House 8:51

Personnel:March 22, 1956
Sonny Rollins - tenor saxophone
Clifford Brown - trumpet
Max Roach - drums
Richie Powell - piano
George Morrow - bass

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