Sonny Rollins 「Work Time」(1955)

 ワンホーン志向で自らの色を前面に出した一枚か。いきのいい若さが味わえる。マックス・ローチも張り切ってるな。

 5曲中自作は1曲のみ。プレイヤー色に軸足を置いた。しゃっきりしたビートにのり、のびのびとふくよかで力強い音色だ。ぶはっと吹き飛ばす上下のメロディと、譜割に3連符を混ぜヒネッたしなやかさを出す左右の動き、どちらも生き生きしてる。

 演奏前の掛け声まで入れて、鋭く立ち上がる瞬間まで封じ込めたアルバムの構成が素敵だ。
 (1)はスピードこそ速いが、ビバップでなくモダンの香りがする。メカニカルなフレーズの上下でなく、歌心ある旋律とさまざまな長さの音符を混ぜて、メリハリある譜割なせい。もちろん3連符などで、幅を持たせたノリを出すロリンズの味わいはばっちり。
 ただちょっと、この曲ではずるずるしたフレージングにタンギングの強さが感じられず、もっさり野暮ったいテナーのアドリブだ。おっかけではじけるピアノも威勢はいいが、バランスの関係か少々遠慮がち。小粒に聴こえてしまった。

 せわしなく畳みかけるドラムと、激しく蹴飛ばすベースのリズムは味わい良いのに。特にピアノとドラムのチェイスがスリリングでいい。マックス・ローチは隙間なく高速スティックさばきで空間を埋め尽した。
 ひとしきりソロが回りテナーに戻ると、細かいフレーズを繰り返して一呼吸置き、華やかなメロディぶりに走る考え込むようなロリンズ節も登場した。

 (2)もアプローチは(1)と似てる。本盤で唯一のロリンズ自作曲。短いフレーズを繰り返しながら高めていき、ぐっと溜めて全く別世界のロリンズ節へ飛ぶ。そんなアドリブの手腕が映える曲だ。

 (3)でのビバップ風な素早く上下するメロディに、ロングトーン混ぜるテナーのアドリブ解釈が、いかにも逞しいロリンズ風だ。ローチも負けじと叩きのめすドラミング。小刻みに空気を裁断し、ロリンズのおおらかさと対比を出した。続くレイ・ブライアントのピアノ・ソロも派手さは無いが、小気味よいメロディアスさ。
 アドリブをひと回してロリンズがテーマへ誘う。高音がちょっと軋んだ。

 (4)はムーディなミドル・テンポ。リズム隊が破綻なく淑やかな世界を作り、テナーがおずおずと裾を広げながら歩んでいく。フレーズの切れ目、終わりでフッと布を払うように音を絞りながら。ときにハーフトーンを混ぜるのは、意図的なテクニックか。
 きっちりとタンギングして、メロディにメリハリを付けた。
 しかし、長いソロ。自信たっぷりだ。たっぷりと尺を取りつつ、主役はあくまでロリンズ。徹底的に自分を披露した。

 アルバム最後は不穏なムードにドラムが刻み倒す(5)。1953年のミュージカル"Can-Can"用のコール・ポーター作品を、アップテンポで骨太なモダン・ジャズに仕立てた。ドラムの勝利であり、隙間なく埋め尽くすテナーあってこそ。
 ここではタンギングよりスラーでアドリブを構成気味に聴こえる。ピアノ・ソロ前に吹き倒して、すっとアドリブをつなぐ瞬間が顕著だ。
 ピアノがすうっと下がり、ドラムとテナーのチェイス。どこまでもロリンズは前に出て、ローチががっぷり応えた。
 

Track listing: 
1."There's No Business Like Show Business" (Berlin) - 6:20
2."Paradox" (Rollins) - 5:00
3."Raincheck" (Billy Strayhorn) - 6:00
4."There Are Such Things" (Adams, Abel Baer, Meyer) - 9:32
5."It's All Right with Me" (Porter) - 6:06

Personnel;December 2, 1955

Sonny Rollins - tenor saxophone
Ray Bryant - piano
George Morrow - bass
Max Roach - drums

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