Sonny Rollins 「Moving Out」(1954)

 トランペットを招き二管体制の幅広さを見つつ、ワンホーンへの色気も残す一枚。


 深くややこしいことは考えず、気合一発で盛り上がってる感じ。
 スピーディなフレージングは、むしろビバップ寄り。「with the Modern Jazz Quartet」(1953)で豪放なモダン・ジャズっぷりを聴かせたのに、本盤ではむしろ時代に逆行してる感あり。

 マイルスでの二管編成でアンサンブルの幅広さと、サイドメンへの甘んじぶり。モンクのバンドで才能あふれるピアニストに支えられ、フロントに立つ華やかさ。それぞれの妙味を追求したかのよう。
 モンクとの1曲は、モンクのセッションからこの録音だけ分けてもらったような感じだが。
 ロリンズは音楽で抜群の才能と歌心を存分に噴出させつつ、セルフ・プロデュースは模索もしくは鷹揚だったのかも。本盤はほぼ全曲をオリジナルで固め、作曲家の立場を鮮明にした。
 カバーの(5)はモンクとのセッション。ディスコグラフィでは3曲をこの日に録音して、残る2曲はモンク色が濃いLPとして世に出たようだ("Thelonious Monk / Sonny Rollins"(1956),"Work!"(1959))。
 
 ベーシストは前作に続き、お気に入りかのパーシー・ヒース。賑やかなブレイキーとエルモ・ホープのリズム隊に乗り、軽快にロリンズは吹き倒した。でもよく聞くと、本盤だとヒースもぐいぐい煽ってるな。
 共演のケニー・ドーハムも手数多い譜割だ。末尾を濁らせつつ、もにょもにょっと吹いていく。
 
 ビバップ・コンボな(1)から、スイング・ビッグバンドみたいな味わいの(2)へ。あくまでもロリンズの手数は多い。良いんだけど、どっかコップの淵から溢れまくりなあわただしさ。もっとじっくりとロリンズのフレーズを味わいたい。ただしソロ回しの小節数はいっぱい使ってるんだよ。

 なんだかなあと思ってると、(3)の穏やかなフレージングでロリンズの本領を味わえる。抑えつけるようなピアノと静かなビートに載って、朗々と吹き鳴らされるテナー・サックス。これぞ、ロリンズ。あまりサブトーンをまぜず、きれいに吹いた。
 サックスの後でおずおずと顔を出し、転がり始めるピアノの奥ゆかしさも良い。間をおかずテナーが、も一度ソロを始める。トランペットの番じゃないのか。後ろで静かにペットが吹いてるけど。曲はそのまま終わり。なんてこったい。テナー無双だな。

 B面の幕開けにあたる(4)では幾分アップテンポだが、ビバップ色は抜けた。ロリンズの音数は多いけど。曲調やリズムが寛いでるせいか。
 くいくいっと同じフレーズを吹き、次の場面で身をひるがえす、考え込むようなロリンズ節も出てきた。さすがにここではトランペットも見せ場のソロあり。
 ピアノやドラムのソロも小気味よく、小粋なセッションな様子が伺える。
 
 モンクとの共演(5)はじっくりとブルージーに決めた。さりげない和音を押さえるピアノも、わずかな不協和音っぽい響きやひねったアクセントにモンクの色を探してしまう。
 ロリンズのアドリブは穏やかなムードで、わずかにサブトーンの香りも。もちろんロリンズ節だが、ちょっと遠慮気味にも聴こえるな。拍頭を自在にまたぐ、ろうろうとした譜割はたっぷり味わえるけれど。

 ただしセッションとしては良い。心地よいモダン・ジャズの寛ぎを味わえた。
 モンクのくねりながらじわじわ高まる光線に、ロリンズの武骨な一本気さが異なる味わいとしてきれいにはまった。
 音数少なく、じわっと空間をゆさぶるTommy Potter(b)の味も良い。特にモンクとのピアノが相性ピッタリ。時にぺにゃんと、次にはじっくりと低音がピアノへ絡んだ。

 アルバム全体での色は、ちょっとまちまちかな。冒頭のビバップやスイングと、後半のモダンジャズ、双方の間で立ち位置を探すかのよう。


Track listing:
1."Moving Out" - 4:31
2."Swingin' for Bumsy" - 5:48
3."Silk 'n' Satin" - 4:03
4."Solid" - 6:27
5."More Than You Know" (Edward Eliscu, Billy Rose, Vincent Youmans) - 10:48

Recorded on August 18, 1954 (first four tracks), and October 25 ("More Than You Know")

Personnel:
Sonny Rollins - tenor saxophone
Kenny Dorham - trumpet
Elmo Hope - piano
Percy Heath - bass
Art Blakey - drums

Thelonious Monk - piano on "More Than You Know"
Tommy Potter - bass on "More Than You Know"
Art Taylor - drums on "More Than You Know"

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