Rosie Gaines 「Caring」(1985)

 プリンスのバンドで名を挙げた黒人歌姫のデビュー作。影は無いのに殿下の影響を感じる。


 "Graffiti Bridge"(1990)で彼女の名を知った。本盤はその前に吹き込んでた盤。
 Wikiによるとロージーは自らのファミリー・バンドUnityでデビュー。The Oasis and A Touch of Classというローカル・バンドでプレイの後、Curtis Ohlsonのバンドへ加わった。このバンドにRevolusionのLevi Seacer, Jr.がギターで参加しており、彼の紹介でプリンスのバンドへ入ったらしい。

 よって本盤はプリンスの色はついてない。けれど特にアップテンポで、殿下の香りが漂う。安っぽいシンセの音、裏拍でスネアが鈍く鳴るパンキッシュなドラム。決してスイングしないがベタッとグルーヴする。そんなアレンジが、特に80年代プリンスっぽい。

 演奏メンバーはバンド参加してたCurtis OhlsonやLevi Seacer, Jr.のサポートを受けつつ、基本はロージーの多重録音。あとはPaulinho da Costaを筆頭に、スタジオ・ミュージシャンを起用し、けっこう予算かけてきっちり作ってる。
 なおCurtis Ohlsonはこんな音楽性。ラテン系エレクトロ・ファンクか。女性コーラスがロージーかな。


 さて、本盤。アップは時代こそ感じるけれど、古めかしくはない。流行を追いつつ、プリンス的な孤高性を感じるせいか。(5)なんていかにもアポロニア6みたい。
 バラードは今でも聴かせる。その一方で、どこか堅苦しく整いすぎたとこもあり。タイトル曲はどこまでも隙が無い。ゴスペル風に盛り上げつつ、決して崩れない。上手くて破綻しないせい。
 だからこそ節回しのすっと揺れる隙間に、愛おしさも感じるのだが

 ときおり挿入されるディストーション効いたエレキギターが、Levi Seacer, Jr.か。85年といえば"Around the World in a Day"(1985)のころ。プリンスが大ヒットを飛ばし猛烈に覆面グループを量産してた頃合いだ。当時のソウル界にさぞかし影響を与えてたろう。

 そのいっぽうでロージーはアップテンポのファンクにとどまらず、バラードや(7)ではラテンにも目配りし、本盤は五目味の構成に仕上げた。
 アップとスローが交互に現れる構成はLPとしてメリハリを狙ったか。スローを固めて、LP片面かけっぱなしって風は避けたようだ。
 
 デビュー作と思えぬ整いっぷり。この辺が器用貧乏な気がしないでもない。ソロとして大成には、何か突き抜けたものが必要か。

Personnel:
Rosie Gaines - vocals, backing vocals, piano, electric piano, synthesizer, percussion
Dan Huff, Levi Seacer, Jr., Steph Birnbaum - guitar
Curtis Ohlson - guitar, bass
Dave Goldblatt, Denzil "Broadway" Miller, Frank Martin, Greg Phillinganes - synthesizer
Mick Mestick, Paul Van Wageningen - drums
Paulinho da Costa - percussion
Marc Russo - alto saxophone
Wilton Felder - tenor saxophone

 ロージーによるアレサ・フランクリンのカバー"Ain't No Way"("Lady Soul"(1968)収録)。
 これはプリンスのライブにて。90年のNude Tourでこの曲がセット・リストに入ってたようだ。


 なおアレサのバージョンがこちら。贔屓目かもしれないが、やっぱアレサのほうがいい。


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