Martin Newell「The Greatest Living Englishman」(1993)

 XTC風味の抜群なポップ・アルバム。切ない諦めが、みずみずしい。


 「英国ロックの深い森:1976-1990」(2004:ミュージックマガジン社)を読みかえして、83~95年くらいまで意外とイギリスの音楽も聴いてたことに気が付いた。むしろぼくはアメリカの音楽のほうへ馴染んでたのに。

 本盤はいまだ活動を続けるベテランSSWが、張りつめた才能を披露してたXTCのアンディ・パートリッジに全面サポートを受けた2ndソロ。
 というよりXTCにしか、聴こえない。ボーカルがアンディじゃないだけ、ってくらい。
  
 英語のWikiやDiscogsを見ると、色々作品リリースとわかる。
https://en.wikipedia.org/wiki/Martin_Newell_(musician)
https://www.discogs.com/ja/artist/682779-Cleaners-From-Venus

 The Cleaners From Venusで81年に自主製作盤をリリース。その後The Stray Trolleysで2枚のリリースを挟み、The Cleaners ~の活動を継続した。

 85年に1stソロ"Songs for a Fallow Land"を自主製作で発表、The Brotherhood of Lizards名義で2枚のアルバムを出す。The Cleaners ~を再始動させ、本盤をリリースのかっこう。
 The Cleaners ~を軸にしながら、着実にマーティンは音楽活動を継続してきた。

 アンディ視点だと93年は"Nonsuch"(1992)の時代。いわば孤高へ向かってた頃合い。人の意見ってどの程度取り入れてたのだろう。本盤もものすごいオーバー・プロデュース。アンディの色がべったりだ。
 クレジットによればアンディはほぼすべての楽器を担当。エンジニアやミックスまでしてる。いちおう作詞作曲はマーティンだ。マーティンもベース、ギター、鍵盤とクレジットあり。みっちりと二人で作り上げたっぽい。

 けれども英国風味溢れ、一ひねりしたメロディ・ラインはまさにアンディの得意分野。徹底的に複雑なポップスに仕上げた。いまひとつ抜けが悪いサウンドが、ぐっしゃり詰まってる。(5)みたいなバブルガムもしくはビーチ・ボーイズ風になりそうなアレンジも、どこか襟を正した英国仕立てなのが面白い。ELOとかあっちのほう寄りだ。
 
 スタジオ・ミュージシャンの弦は別として。サイドメンでダムドのキャプテン・センシブルが参加してる。パンクは詳しくないが、アンディらとどんな人脈だったのかな。
 ドラムでクレジットのLol Elliottは、The Cleaners ~のメンバーつながり。

 メロディは瑞々しく、技巧追求ではないがアレンジも多彩。ハーモニーの甘さもばっちりで、どこにも隙が無いアルバムだ。
 ボーカルはアンディほど抜けが無い、ちょっとしゃがれ気味なマーティンの声。それがまた、本盤へ埃っぽいウエザリングを施した。
 手放しでポップスへ向かわない。どこか重心を落として皮肉っぽく。そんなスタンスが漂ってる。

 原盤は廃盤でプレミアがアマゾンでついてるけれど、前に輸入盤屋で100円で売っていた。この辺はタイミングと一期一会か。いずれにせよMP3ならAmazonやi-tunesで手軽に聴ける。
  

Personnel;
Martin Newell Bass, Guitar, Keyboards, Mandolin

Andy Partridge Bass, Computer Editing, Drums (tracks: 1 to 6, 8 to 10, 12), Engineer, Guitar, Keyboards, Mixing, Percussion, Producer, String Arrangements
Captain Sensible Guitar
Lol Elliott Drums, Percussion

 

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