Daevid Allen & Kramer 「Hit Men」(1995;shimmy 080)

 エッジの立った、クレイマー寄りの盤。前作と異なり、アレンも音楽へむしろ太く貢献してるのだが。

 前作"Who's Afraid"(1992)から数年後、ひょっこりリリースの本盤。アレンが欠席したクレイマーやヒュー・ホッパーのシミー祭りな来日後に発表だったかな。"Who's Afraid"のアウトテイクと思しき曲から、新録まで幅広い作品を混ぜた。
 そのためか、前作みたいな統一した酩酊感は希薄で、クレイマーの冴えた楽曲づくりとアレンののどかな自由っぷりが絡み合う盤だ。

 したがって内容的には、ちょっと鋭さが残る。前作はクレイマーへ一任だった音楽にも、アレンは関与。ほぼ半分の曲でクレジットある。プロデュースはクレイマー名義だが、エンジニアにはアレン自身の名前も。
 ばらばらに録音して、最後にクレイマーがまとめたのかも。演奏形態はほぼすべてをクレイマーが演奏し、ドラムのみミュージシャンを起用するスタイルは変わらず。

 本作のドラマーはBill Bacon。ニューヨーク・ゴングやマテリアル、トム・コラも在籍したCurlewなどのメンバー。NYゆかりのミュージシャンだが、アレン寄りの人選かもしれない。
 でもクレイマーの2ndソロ"The Secret Of Comedy"(1994)で叩いてるのも、彼だ。クレイマーのお気に入りだったのかな。
 
 サウンドはくっきりエッジの立った録音で、前作の煙った雰囲気はかなり減じた。とっ散らかった抽象的な音像もあるけれど、ロック寄りに明確なビート感を強く表現した。
 サイケやプログレへ、パンキッシュな色合いを加えた感じ。すみずみまでクレイマーが丁寧に音作りしてるけれど。今回聴いてて、(5)での繊細なシンセの味わいにやられた。ずいぶんアレンジ凝ってたんだ。

 性急に前のめりなノリが目立つ。そのぶん寛ぎや浮遊感は低い。やはり僕はクレイマーに、ドラッギーでひりひりした切なさを求めてるようだ。傑作ソロ"The Guilt Trip"に代表される、胸かきむしり頭ぼやけた雰囲気を。耳障り良いメロディだが、ひねくれた味わいを。
 日本盤ベストのタイトル"Music For Crying"(1995)に象徴される、どこか涙を感じさせるムードを、クレイマーに求めてるようだ。

 本盤を改めて聴いても、クレイマーの作るサウンドの冴えっぷりにやられる。アレンのカリスマ性も、だが。リズムがメロディと一体化してる。

 クレイマーは当時、ソロだけでなくドッグボウルやホッパーとのコラボなど、矢継ぎ早に傑作をリリースしてた。とはいえ本作あたりから、どうも音が硬くなってクレイマーはじわじわと失速を始めてた気がする。 

Personnel:
Bass, Guitar, Organ, Tape, Vocals, Sampler [Emulator] – Kramer
Drums, Percussion – Bill Bacon
Electric Guitar, Guitar [Glissando], Acoustic Guitar, Vocals – Daevid Allen
Engineer – Kramer
Engineer [Additional] – Daevid Allen, Dr. Jed Rothenberg
Producer – Kramer
Written-By – Allen (tracks: 1 to 3, 5 to 7, 9), Kramer (tracks: 1, 2, 4, 8 to 10)

関連記事

コメント

非公開コメント