Daevid Allen & Kramer 「Who's Afraid」(1992:shimmy 060)

 言語化できぬ魅力だった。今、聴いても同じ。幻想性に惹かれる。


 ゴングのデイヴィッド・アレンとシミーディスクの総帥、クレイマーの初コラボ盤。クレイマーの才能が冴えわたり、次々に傑作を発表してた時代の嚆矢になる。

 ほぼリアルタイム、何の知識もなしに聴いた。こんな惹かれるとは思わなかったし、今でも不思議な魅力ある盤だ。
 先にアルバムについて書く。ドラム以外は基本的にクレイマーがすべて演奏し、グリサンド・ギターとボーカル中心にアレンがダビング。歌詞はすべてアレンだが、作曲はすべてクレイマーとクレジットある。

 すなわち音楽的主導権はクレイマーが握り、イメージ・アイコンとしてアレンが存在する。ゴングは詳しくなく、本盤へどの程度カンタベリーの香りが投影かはコメントできず。けれどもコンパクトで密室的なサイケ・ロックに仕上がったと思う。プログレ的な味わいはアンサンブルの構築性か。

 音楽的にはベースを筆頭に、煙ったポップスさを漂わすクレイマーのセンスにやられる。つかみどころ無い曲構成だが、根本の親しみやすいメロディが本盤をバラエティ富んだ内容に仕上げた。もともと甲高いクレイマーの声は、アレンと何の違和感もなく混ざる。
 ニューヨーク・ゴングをきっかけにアレンとかかわったクレイマー流の、ゴングをオマージュしつつNYアヴァンギャルドの鋭さを巧みに表出させた盤。
 とにかくドラッギーな夢見心地に満ち、歌ものとインストがいい塩梅で混ざってる。

 と、ひとしきり語ったところで。なにも説明してない自分に気づく。本当に本盤は、なぜ惹かれたかを上手く言語化できない。
 記憶が正しければ、本盤は吉祥寺のワルシャワかレコファンで買った。93年の話だと思う。クロスビートのレビュー見て、気鋭の変態プロデューサーってイメージだったクレイマーのほうに惹かれた、かな。当時はゴングって、存在すら知らなかったし。

 社会人一年目、背伸びしたロックでも聴くかねって程度の好奇心。あらかたの演奏にとどまらず、エンジニアまで務める多彩さに惹かれた。当時はシミーの存在も知らない。
 僕がクレイマー関係で、初めて買った盤だと思う。

 当時はサイケに全く知識がなく、聴いてて戸惑った。わかりやすく平歌とサビの構造が無く、なんとなく曲が進んでく。なのにダラダラした即興性は皆無。とぼけたおっさんの歌が漂う中、演奏はバタつきながらもカッチリ構成されてる。
 和音感も不安定だし、メロディも酔っぱらった風に上下して掴みどころが無かった。でも、惹かれた。オルガンの響き、うねるベースの感じ、浮遊しそうで破綻しない、アレンジ術など。

 今、聴き直しても本盤の印象はあまり変わらない。ゴングを何枚も聴き、クレイマーもあれこれ聴いた今、知識は増えた。けれども、とっ散らかった盤だって印象はあまり変わらない。
 コラボの続編"Hitman"より、本盤のほうが好きだ。より鋭さを増した"Hitman"より、どこか惚けた雰囲気が漂うためか。でも、やはり言語化できないな。

 しかし当時のクレイマーは、なんとも鋭かった。ポップさと前衛性が絶妙のバランスで成立する。演奏も素晴らしい。決してテクニックひけらかしではないが、シンプルなフレージングで、かっちりと曲を構成する。
 そしてメロディアスなベース・ラインは抜群だし、切なく歪むギターの音色も心地よい。



Personnel;
Producer, Engineer,Bass, Guitar [Whammy], Keyboards, Flute, Vocals – Kramer
Drums – David Licht
Guitar [Glissando], Acoustic Guitar, Vocals – Daevid Allen


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