アンディのインタビュー本:XTC

 来月にXTCの象徴、アンディ・パートリッジへインタビューした本"Complicated Game: Inside the Songs of XTC"が出る。


 残念ながら洋書、すなわち英語。そのうち翻訳が日本で出るといいな。

 ぼくはXTCのファンを、とても名乗れない。
 最初に聴いたのは、たぶん84年くらい。一枚ものにまとめられた"English Settlement"(1982)だった。一番聴いたのが、リアルタイムだった"Oranges & Lemons"(1989)かな。
 続く"Nonsuch"(1992)は流れで買って、妙な息苦しさを感じてしまう。
 "Apple Venus Volume 1"(1999)やラスト・アルバム"Wasp Star (Apple Venus Volume 2)"(2000)は惰性で聴いてた。そのあと出た、企画盤へは手が伸びなかった。

 過去作で代表作に上がる"Black Sea"(1980)や、名作と評判のトッド・ラングレンがプロデュース"Skylarking"(1986)は聴いたが、強烈な印象までは自分の中に残らず。
 未聴もある。1st"White Music"(1978),2nd "Go 2"(1978),5th"Mummer"(1983),6th "The Big Express"(1984)。
 そんな程度の聴き体験。やっぱ、薄いな。

 ひねくれたポップ・センスには、確かに惹かれた。一枚選ぶなら、やっぱ初期の刷り込みである"English Settlement"かな。
 
 ちょうどここ数日、久しぶりに聴き直すかとXTCをi-podに放り込んでた。
 手持ち音盤を聴き返し、後期アルバムのベタッとした重苦しさを感じた理由が、何となく自分の中で整理ついた。
 作りこみすぎてるんだ。デモ音源盤"Demo Trucks"(1992)聴くとわかる。アルバムの音、そのまんま。インタビューで予算圧縮のために、デモで作りこむって読んだ記憶もあるけれど。
 つまり偶発性は音盤化の時点で既に出尽くし、アンディが理想とした音楽をそのまま受け入れるだけ。スリルに欠けると当時は感じたみたい。もちろん、そこまで作りこめるのも大きな才能だが。

 さらに後期の盤になるほど、アンディのエゴが強烈に出すぎ。"English Settlement"ではバンドとしてまだ成立しており、各人の個性がぶつかり合ってた。歳を経るにつれ、すべてがアンディの素材になってるっぽい。

 今、"Drums and Wires"(1979)を聴いてる。独特のねじくれたメロディは、アンディの歌声と相まって強烈な個性になってる。けれどニューウェーブ風の乾いたアレンジは、後期ほど音が詰まってない。それぞれの楽器は、違う人が演奏してる。それがバンド、か。
 バンドのぶつかりは、サウンドの未成熟さ。稚拙もしくは荒っぽさにもなる。けれど密室性を突き詰めるアンディの集中力へ呼吸穴をあけるのに一役かってたとも思う。
 一人芝居の横綱相撲な音楽でも、それはそれで構わない。だが後期XTCの盤は、リズム面でどうも躍動感が物足りない。これはアンディのセンスであり、好みだろなあ。

 いまさらアンディとほかのメンバーが和解して、XTCの新譜には期待しない。
 けれどアンディがXTCを自らのブランドと捉え、どんなふうにアルバムを作りこんでいったか。メンバーが次々バンドを去りながら、あえて新メンバーを入れなかった理由は何か。
 なぜ"Wasp Star"を最後に、XTCは活動をやめたのか(単に悠々自適で、めんどくさかっただけかもしれないが)。その辺が伺えるインタビューが、本書で読めるといいな。

 音作りの点で、まずメロディか、リズムか。アレンジとメロディの関係性は。ギターへのこだわりや、スティーブ・リリーホワイトやヒュー・パジャムのドタスカした角の立った音は、どの程度自分の作曲やアレンジに取り入れてたのか。そこらへんも読んでみたい。トッドとの軋轢は・・・もういいや、別に。
 要するに、人間関係はさほど興味ない。バンドだったXTCがワンマン・プロジェクトに至る中での、音楽的な突き詰めっぷり。そのへんが興味ある。さて、どんな本が出るんだろう。

[XTC Discography]
1978 White Music
1978 Go 2  【Barry Andrews:key 脱退】
1979 Drums and Wires 
1980 Black Sea
1982 English Settlement
1983 Mummer 【Terry Chambers:ds 脱退】
1984 The Big Express 
1986 Skylarking
1989 Oranges & Lemons
1992 Nonsuch
1999 Apple Venus Volume 1 【Dave Gregory:g 脱退】
2000 Wasp Star (Apple Venus Volume 2) 【Colin Moulding:b 2006年脱退】


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コメント

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No title

こんにちわ、
XTC ファンです、取り上げて頂いて有り難うございます。 
楽しみですね。
インタビューは、2005年頃だったかしら? から数年に亘って、行われて、当時は、MySpace に公開されていました。今回の本は、それを元にしたものです。 
内容は、作曲、作詞そのものについて、それに、レコーディングについてでした。
資料的には一級だと思います。
出版に当たっては、編集もされて、パートリッジの創作ノートからも加えられるそうですから、より興味深いものになっていると思います。 
藤本 成昌 さんが、翻訳して下さるといいのですが、出版社が見つかるかも問題ですね、、、 

では、

Re: No title

コメントを頂きありがとうございます。けっこう前のインタビューなんですね。内容も音楽ネタが満載のようですし、翻訳でないかなあ。読んでみたいものです。
10年前なら、日本にもXTCファンがそれなりにいて、ビジネスになったと思うのですが。いまだとどんなもんでしょうか。