TZ 8112:Rashanim "Masada Rock"(2006)

 マサダ10周年を寿ぐ、別編成MASADA楽曲集の第五弾にして最終盤。ここからMasada Book 2へと、明確にコンセプトが拡大した。


 ロックと言いながら、特にエイトビート強調ではない。ギター中心のトリオを称してロック、と呼称のようだ。
 メインの演奏はTZADIKにも2枚のリーダー作を残すRashanim。エレキ一辺倒ではなく、時にはアコースティックで静かにアンサンブルを披露する。ますますロックから遠ざかってしまうが。
 ゲストでマーク・リボーが2曲に参加し、ダイナミックさに拍車をかけた。うち1曲はアコースティック路線。ハードとソフト、双方の要素をリボーは提供する芸の細かさ。

 収録レパートリーはほかのMasada盤とかぶらぬ、ジョン・ゾーンのオリジナル曲ばかり。
 フロント二管の絡みをマサダの魅力の一つと定義するならば、このトリオ編成ではギターとベースの同じ譜割でスピード感を強調した。
 ただしアップテンポはむしろごく一部。スローもふんだんに投入して、音盤としてはバラエティに富むアレンジを採用した。
 
 ギターの音色もへヴィな歪みからクリーンな響きまで、曲ごとに細かくアプローチを変える。Masada Book2で入れ代わり立ち代わりの編成違いを聴きまくってる今から振り返ると、本盤の特異性はかなり減じてると言わざるを得ない。
 
 ただしゾーンのコンダクトが無い点は、今と明確に違う。この後のゾーンは第一の観客としてステージ上に陣取り、ハンドキューで即興を指揮する手法を多用する。だが本盤にはゾーンの明確な指示はなさそうだ。

 しゃっきり歯切れ良いフレージングは、アラブ風味とストレートなジャズの間を行き来する。やはりロックって表現とはちと違う。音楽として、涼やかな楽しさはあるけれど。
 ロックって表現の純粋さを、聴きながら考えさせる一枚。

Personnel:
Shanir Ezra Blumenkranz – electric bass, oud
Jon Madof – guitar
Matthias Künzli – drums, percussion

Marc Ribot – guitar on 1,4


 

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