"T.A.P.O.A.F.O.M." George Clinton & The P-Funk All Stars (1996)

 不定形のブランドとし復活したP-Funkの傑作であり、涼やかなファンクが楽しめる。


 P-Funkが失速は80年代初頭。しばらくは音盤もほとんどが手に入らず、83年頃から音楽を聴き始めたぼくはP-Funkの音を実際に聴くまで5年ほど待つ必要があった。88年頃から断片的にブーツィやクリントンのアルバムは出てたものの、P-Funkってブランドが非常にあいまいだった。

 Wikiのこのページが興味深い。クロノジカルに矢継ぎ早なリリースを繰り広げた、P-Funkの歴史が伺える。80年代中頃はどうにも寂しい。ブーツィがWhat's Bootsy Doin'? (1988)で復活し、クリントンはプリンスの手を借り"The Cinderella Theory"(1989)で息を吹き返した。

 そのころからP-Funk周辺のミュージシャンがじわじわとソロを出し始める。外堀を埋めてく感じ。いっぽうでCDでファンカやパーラの再発も始まってきた。
 双方を聴きながら感じてたのは、クリントンの音楽的な求心力の変化。ファンカやパーラの全盛期は、ガキ向けの無邪気なコンセプトと猥雑な集合力のわさわさっとしたうさん臭さが産む、煙たいほどのパワーがあった。

 ところが89年以降のP-Funk音源は、どっかこじゃれて気取ってる。確かに耳障りは良いが、硬質で打ち込みビートを多用し、いまひとつ親しみやすさがなかった。大人になったファンクって感じ。

 前置きが長くなった。要はP-Funkがクリントンの精神世界を体現から、P-Funkってコンセプトそのものがブランド化し、若い才能を吸い取ったのが90年代以降のP-Funk。そんなイメージがある。
 "Parliament Funkadelic P Funk Allstars"名義で"Dope Dog"が93年。パーラとファンカを別稼働させず、90年代はひとくくりにクリントンが動かしてた。

 そして96年、おもむろに発売が本盤。ダサいジャケットで、最初は安手のベスト盤かと思ったっけ。だが内容は、クリントンのコンセプトを若い世代が再解釈する、興味深い盤に仕上がってた。
 作曲クレジットは、Discogsを見てほしい。本エントリではミュージシャンのクレジットだけコピーしておく。

 この大勢なミュージシャン勢を見よ。若手とベテランP-Funk勢がそろい踏み。さらに録音クレジットも多彩。すなわちP-Funkのツアー先か、それぞれ若手が自由に録音した音源に対し、クリントンがぱらぱらとエッセンスを足した感じがぷんぷんする。
 つまりはクリントン印はそのままに、クリントンはすべてをあえてコントロールしない方向性を選んだ気がしてならない。自分が居さえすればP-Funkは成立する、と言わんばかりに。

 本盤の収録曲は多彩だ。うさん臭いP-Funk独特の香りは節々に漂う一方で、根本のビートは機械仕掛けで硬質だ。しぶとい生演奏の要素もあるけれど、きっちりクリックに合わせ録音みたいな整然さが全編を覆う。
 アレンジ・スタイルもまちまち。当時出たP-Funkの未発表コンピを聴いてるかのよう。だが、通底するわさわさっとした空気がしぶとくアルバム全体を強靭に貫いてる。

 クリントンは本盤のアプローチに手ごたえを感じたのではないか。ペースはゆっくりながら、その後も同様のリリースを続ける。
 George Clinton & the P-Funk All-Stars名義で"How Late Do U Have 2BB4UR Absent?"(2005)。
 ファンカ名義で"First Ya Gotta Shake The Gate"(2014)と。大ボリュームで幅広い音楽性や録音音源を、貪欲に一枚へまとめていく。この咀嚼力と幅広さが近年のP-Funkだ。

Instruments – Amp Fiddler, Bennie Cowan, Bernie Worrell, Billy Nelson, Bootsy Collins, Bubz Fiddler, Catfish Collins, Clip Payne, Colin Wolfe, Cordell Mosson, Craig Love, Detroit Symphony Orchestra, Dewayne McKnight, Dwayne Maultsby, Eli Fontaine, Erick Sermon, Garry Shider, Gary James, Gary Mudbone Cooper, George Clinton, Greg Boyer, Greg Thomas, Jerome Rogers, John Davis, Junie Morrison, Lige Curry, Michael Hampton, Mike Wilder, Rodney Curtis, Spearhead X, Steve Boyd

Vocals – Amp Fiddler, Andre Foxxe, Ann Sheriff, Belita Woods, Bubz Fiddler, Clip Payne, Dawn Knight, Debra Killings, Derrick Rossen, Diane Fulmar, Dwayne Maultsby, Garry Shider, Gary Mudbone Cooper, George Clinton, Grady Thomas, Greg Thomas , Jeff Paterson, Joi Gilliam, Kelly Cowan , Kristen Gray, Lige Curry, Louis Kabbabie, Olivia Ewing, Pat Lewis, Paul Hill, Ray Davis, Rob Manzoli, Robert "P-Nut" Johnson, Sativa , Sheila Brody, Steve Boyd, Tracey Lewis

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