"Thanksgiving" Boo Hewerdine(1999)

 トラッドを咀嚼した、繊細でか細い英国人SSWの作品。


 元バイブル。毎回レーベルを変えつつ着実にソロを出し続けるブー・ヒューワディンがBlack Burstから99年発売の3rdソロ。ブーの名は、エディ・リーダーとの共演で知った。93年のシングルでEddi Reader, Clive Gregson, Boo Hewerdineの3人名義な"Wonderful Lie"にて。素朴な英国SSWって印象だった。

 その後もなんとなく気になり、しばらくは目につくと盤を入手。これもそんな一枚。その割にEddiが2曲で参加した2nd"Baptist Hospital"(1995)は未聴だ。というか今、本盤のために調べてて、そんなアルバムがあったことを知った。情報収集が甘いな、おれは相変わらず。
 なおブーはその後も着実に活動を続け、最近も7thソロ"Open"(2015)をリリースしてる。知らなかった。

 本盤のプロデューサーはClive GregsonとJohn Wood。
 Clive Gregsonは80年代にごきげんなパブ・ロックを聴かせたAny Troubleのメンバーだ。その後、リチャード・トンプソンやアシュレー・ハッチングスのバンドに参加、トラッドに寄った活動をしてるみたい。
 John Woodはアイランドでフェアポートなどをプロデュース。やはりトラッド・ロックの人脈か。と思えば、Any Troubleの2nd"Where Are All The Nice Girls?"のプロデュースも彼だ。密接に人脈がつながってる。
 


 参加メンバーはブーとプロデューサーの人脈がごっちゃかな。バイブルからはNeill MacColl(g)が加わった。コンボ編成のアレンジだがバンドでなくスタジオ・ミュージシャンの集成って感じ。ストリングスも投入し、穏やかで柔らかな世界を紡いでる。
 5曲でMartha Wainwrightがデュエットで歌っており、アルバムの印象をブーの内省的にとどまらせず、若干の開けた風景を作った。

 楽曲は基本的にブーのオリジナルだが(4)と(10)がエディ・リーダーを筆頭に6曲が共作曲。アルバム全体からは非常にパーソナルな感じだけれど、楽曲や演奏も含めて別に他人とのコミュニケーションを拒んでるわけではないみたい。単にナイーブなのか。
 楽想はアコースティックを中心に、カッチリしたリズムが全編を覆う。牧歌的でなく細やかにアレンジされており、即興要素は薄い。すみずみまで整った世界観はブーの生真面目な心を表現してるかのよう。
 エレキギターで空間をくっきりと貫くニール・マッコールのフレージングのみ、楽曲の精錬な譜割へさほど捕らわれず、緩やかに舞った。

Personnel:
Producer - Clive Gregson, John Wood
Bass - Tim Harris (tracks: 1, 2, 4, 7, 9, 11, 13)
Drums - Martin Barker (tracks: 2, 4, 7, 9, 13)
Electric Guitar - Neil MacColl (tracks: 2, 7, 10, 13, 14)
Piano - Teddy Borowiecki (tracks: 1, 4, 6, 11, 13)
Strings - Electra Strings (tracks: 1, 2, 8, 11)
Violin - Joel Zifkin
Vocals - Martha Wainwright (tracks: 2, 4, 5, 7, 13)
 

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