"Remain in Light" Talking Heads (1980)

 強靭なファンクネスと吹きすさぶクールさが聴くたびに新たな魅力を振りまく。


 本盤を知ったのは洋楽聴き始めた83年ごろ。YMOに興味持ち手を取った本に「同世代のテクノに影響与えたミュージシャン」みたいなカテゴライズに、本盤が載っていた。
 ブライアン・イーノがプロデュースの三作目とか、エイドリアン・ブリューが参加したとか、ゴシップ的な予備知識は何もなし。とにかく目新しく、かっこよさそうで興味を持った。
 最初は確か図書館でLP借りたんだっけな?そして、えらい怖い音楽だな、と思った記憶あり。それはよく、覚えてる。

 冒頭の「はぁっ!」って掛け声とリズムの嵐、そのあとも鋭いギターと溢れるグルーヴ。
 中学生だったぼくは全く理解できず、とにかく怖いな、って印象。いわゆる耳障りの良い和音やメロディじゃないことに、まず戸惑った。バラードみたいな寛げる曲が無い。テンポ抑え気味の(6)も、妙に一本調子で穏やかじゃないし。
 ニューウェーブはよくわからない。敬して遠ざける。そんな位置づけのアルバムになった。

 聴き返したのはたしか数年後、アフリカ音楽とかもある程度耳にした頃合い。いきなりこの盤に魅力を感じた。そして年を経て聴くたびに、本盤が実に奥深いと気づいた。
 でもLPを処分してしまい、CDではずっと盤を持ってなかった。買いなおしたのが05年。アマゾンは怖いね。いまだに購買履歴が残ってる。
 とはいえ、買いなおした。そして折に触れ、聴き返す。つい最近も、通勤中にイヤフォンで聴いててくるくる弾むメロディとリズムの組み立てにウキウキしたばかり。いやはや何度聞いても楽しい。

 上ずるデヴィッド・バーンの歌声は、着地しない。ふわふわとリズムの上を泳いでく。そう、このアルバムはスピーカー経由だと奇妙な浮遊っぷりを感じる。
 イヤフォンでガツンと大きい音で聴いたら、また違う着実さもあるけれど。

 むわっと煙るリズムのむさ苦しさと、ビートにおぼれぬバーンの歌声。たとえば(5)。ガシガシ刻む低音とニューウェーブな硬いギター。折り重なり、揺れながら着実にグルーヴは続いてく。その間を縫うように、歌声がすり抜けた。そんなアンマッチで溶けあわないアレンジの組み立てがどうにもカッコいい。

 シーケンサーと生ビートの組み合わせかな。本盤のリズムはジャストに畳みかけ、鍵盤の味付けが強靭さを固めていく。酩酊しつつ崩れない。
 アフリカンだがテクノなタイトさを持つ。何度聴いても良いなあ。
 
 ぼくは無機質に陽気な(4)が好き。でも、今はB面のひそやかで着実な楽曲群に惹かれてる。このアルバムは聴くたびに、いろんな魅力を見せる。すごい。

Tracklist
1.Born Under Punches (The Heat Goes On) 5:46
2.Crosseyed And Painless 4:45
3.The Great Curve 6:26
4.Once In A Lifetime 4:19
5.Houses In Motion 4:30
6.Seen And Not Seen 3:20
7.Listening Wind 4:42
8.The Overload 6:00

Personnel:
Talking Heads
David Byrne – lead vocals, guitars, bass guitar, keyboards, percussion, vocal arrangements
Jerry Harrison – guitars, keyboards, backing vocals
Tina Weymouth – bass guitar, keyboards, percussion, backing vocals
Chris Frantz – drums, percussion, keyboards, backing vocals

Additional musicians
Brian Eno – bass guitar, keyboards, percussion, backing vocals, vocal arrangements
Nona Hendryx – backing vocals
Adrian Belew – guitar
Robert Palmer – percussion
José Rossy – percussion
Jon Hassell – trumpets, horns

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