"The Complete Specialty Sessions" The Chosen Gospel Singers (1991)

 野太くシャウトする熱っぽい6人組ゴスペル・セクステットの編集盤。

 ゴスペルにはいくつかのパターンがある。クワイアの大編成、吟遊詩人みたいにブルージーな弾き語り。ほとんど無伴奏で分厚くハーモニーをかます、主にカルテットスタイル。宣教より多様な宗教スタイルに即したバリエーションだろうか。
 かれらは最後のパターンに属するグループだ。ドゥワップなど黒人コーラス好きには、一番耳馴染みやすい。宗教的熱狂を表現するだけあり、たいがいは猛烈な激しさあるけれど。

 チョーズン・ゴスペル・シンガーズは熱っぽい歌い方で、ゴスペル好事家の間では有名なグループらしい。52~55年にスペシャルティ、55~63年にナッシュヴィルのレーベル"ナッシュボロ"で吹き込みを行った。メンバーの一人が、のちに世俗ソウルの分野、PIRなどで大ヒットを飛ばしたルー・ロウルズが在籍ユニットとしても有名らしい。

 本盤は91年に日本編集で未発表曲も合わせ、全19曲でP-Vineがリイシューした編集盤。Specialty時代の音源集だ。この数年後、93年にSpecialty自身が3曲をさらに足し23曲入りで発売とえげつないビジネスをやってる。
 P-Vineは単発売り切りのリリースが多いため、今回書く盤の入手は中古盤以外では不可能。仮にチョーズン・ゴスペル・シンガーズを聴くならば、93年にSpecialtyがリイシューした23曲入りコンピのほう。こちらも廃盤だが、マケプレでさほどのプレミアもついてない。この盤の解説で、ざっと本グループ紹介も記載あった。
 


 曲目を見る限り、Specialty23曲盤で、本盤未収録は以下の3曲だ。
13. I've Tried
14. Ananais
15. Don't You Know The Man?

 13と14を繋げたYoutubeを貼っておく。


 チョーズン・ゴスペル・シンガーズはSpecialtyで5回の吹き込みを行った。本P-Vine盤もSpecialty盤も、ほぼセッションごとに並んでる。本P-Vine盤のほうが、より時系列に並べた。
 本盤ライナーによれば、(1)~(7)が52年11/11、(8)~(10)が54年2/10、(11)~(15)が54年4/28、(16)~(17)が55年2/23。録音日不明が(18)~(19)。
 DiscogsによるとSpecialtyには4枚のSPを残した。すなわち既発曲は(1),(3),(8),(9),(16),(17),(18),(19)の8曲。リリース順に書くと、
 1953:(18)/(19)
 1953:(1)/(3)
1954:(8)/(9)
1955:(16),(17)

 各セッションもそれぞれ特徴あり、分厚く豪快な(1)~(7):52年11/11。パーカッションや足踏み音も生々しい、ちょっとメロウな(8)~(10):54年2/10。
 ピアノが加わり親しみやすさを増した(11)~(15):54年4/28。ギターやピアノもわずかに加わり、カントリー的な風味もうっすら漂う(16)~(17);55年2/23、ぼろぼろの音質だが熱気が凄まじい(18)~(19)と、各々個性があるセッションだ。

 実は本盤をここまでじっくり聴くのは初めて。この手のグループは歌詞なり音楽スタイルなりをきっちり把握して聞かないと、似たようなメロディやパターンでどれも同じに聴こえてしまう。
 ゴスペル・カルテット(本グループは6人組だが)は、ブルーズの凄みとハーモニーの分厚さを味わうには、ちょうどいい。音質のぼろぼろさを我慢すればだが。とはいえ本盤は針音などをきれいに消して、ちょっとひしゃげてる以外は音質に不満もない。
 
 改めて聴くと本盤、良いなあ。野太い凄みとシンプルで伸びる掛け声スタイルの歌声が、セッションごとに移り変わるさまがよくわかった。黒人ボーカルが好きでゴスペル・カルテット系も、わからないなりにあれこれと聴いてきた。このジャンルも気合入れて、きちんと楽しまなくては。
 リードがだみ声でガツンとシャウトし、バックが整然と煽ってくる。シンプルなパターンだが、確かに熱い。代表曲という(17)"Stay with me Jesus" の畳みかけるスピード感もすさまじい。さらに中盤でゆったり白玉強調で敬虔さを強調し、再び駆ける勇ましさ。凝った曲だなあ。


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