"Live In Toronto" Hezekiah Walker & The Love Fellowship Choir (1993)

 平板だがブワッとはじけるクワイア形式のライブ盤。

 ゴスペル・クワイアをキリスト教徒でない人間が聴いて楽しめるのか。いわゆる宗教的熱狂は当然なく、とりあえず大編成コーラスが醸し出す迫力とグルーヴ感をなぞってるだけかもしれない。
 あまり僕はクワイアを熱心に聴いたことはない。本盤を入手したのも、なんとなく。しかし記憶に残さずそのままってのも何なので、調べたことをいろいろ書き記しておく。

 Hezekiah WalkerはNYにあるLove Fellowship Tabernacle教会の牧師。キリスト教的にどう位置する宗派か上手く調べられなかった。教会のWebはこちら。フィラデルフィアにも同派の教会があった。教会での規模感も不明。Youtubeでいくつか歌唱風景があったが、フィラデルフィアのほうばかりヒットする。

 
 Hezekiahの率いるコーラス・グループは今まで十数枚のアルバムをリリース、本盤が4thにあたる。のちにHezekiahはゴスペルのグラミーを受賞、アメリカのその界隈では有名なひとらしい。
 ライブ盤をいくつも出してるが、地元でなく世界各国での収録。布教の一環か、エンタメとしてか、委細はわからない。本盤はジェイムズ・ブラウンに捧げられてる。世俗派代表みたいな人に捧げるあたり、どうもキリスト教の倫理観が分からない。
 
 本盤の構成は淡々と大編成コーラスをバックに、1~2人のリード歌唱が掛け合い気味に歌う、典型的なクワイア・スタイル。男女数人がリード役らしく、別にHezekiahが歌手ってわけでもないらしい。
 ライナー見てもミュージシャンやコーラス隊のクレジットが無く、詳しいことはさっぱり。エレピの鍵盤奏者が1人にドラム・ベースのシンプルな演奏に聴こえるが、クレジット見るとミュージシャンとして6人ほど記載ある。その割にファースト・ネームのみでフル・ネームや演奏楽器が書いてない。ましてやコーラス隊のクレジットもなし。

 このライブは悪天候に悩まされ、トラブル続きだったらしい。録音は92年の12月13日。寒波でバスは動かずスケジュールがズタズタ、しまいにコーラス隊の半分はホテルに残らざるを得ず、と中途半端なライブだったとある。
 けれど聴く限り、コーラス隊の声が薄くは全く感じない。フル体制なら、どんだけ迫力あるんだ。

 全11曲、Hezekiahの作曲関与は2曲くらい。特に讃美歌でなくオリジナル曲を歌ってるのかな。いかんせん盤の展開に緩急がない。テンポの緩急はあるけれど、テンションそのものは高止まり。張りつめた緊張と熱狂を常に提供する。したがって、今一つ聴いてて個々の楽曲が個性的に聴こえない。

 クライマックスはたぶん、10分にも及ぶ(10)と思う。金切り声かってくらいハイトーンを、女性ボーカルが頼もしく歌い上げ、おもむろにバリトンからファルセットまで変わる幅広い音域の男性にチェンジ。かっこいいはずなのにな。

 ミックスのせいか。どうもダイナミクスに乏しい。のぺっと一本調子だ。ぶりぶりと唸るベースも、歯切れ良いドラミングも、温かい鍵盤も。さらに分厚いコーラスも、リードのスリルも。すべてがごちゃっとまとまった。個々の音はそれなりに聴き分けられるが、メリハリに欠けて聴こえた。
 
 歌は確かにうまい。キリスト教徒なら多分もっと親しみこめて聴けるはず。でも門外漢でも聴いてて飽きはない。積極的に勧めづらいが、悪くもない。

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