"Slaughter's Big Rip-Off" James Brown (1973)

 スリルとくつろいだファンクネスが同居するサントラ盤。評価が難しい。


 ギターのカッティングや、凝ったアンサンブルのオケなど、いわゆるJBのファンクにとどまらないアプローチが本盤では色々聴ける。オルガンのソロも数曲であり。これ弾いてるの、だれだろう。

 ジェイムズ・ブラウンの73年は既に円熟期。"Sex Machine"のリリースが70年。このころが音楽創造力ではピークと思う。そのあとの70年代前半は、功成り名を遂げたJBが親分肌で地盤を固めつつ貪欲にファンクを追求。後半はディスコに翻弄され80年から復活、の流れ。
 JBは根本にライブ演奏があり、シングルが中心。アルバムは粗製乱造な感も否めない。したがってシングル中心に聴きたいが、それすらも追いきれてない。ましてやアルバムなんて・・・が実態。とはいえ、耳にしないと聴くチャンスもない。せっかくなので、本盤を聴いてみた。

 なんというか、JBの豪快さが噴出の盤だ。サントラだが我を通し、かといって力も入れない。ファンクの帝王ゆえのおおらかな音楽性が現れた一枚だ。
 日本語ライナーによるとJBは本盤へさほど思い入れ無かったらしい。未発表曲を発表する受け皿程度にとらえてたとか。JBのアルバムって多かれ少なかれ、そんな感じかもしれないが。

 本盤でいうと(5)は70年の既発曲を再編集。(4)と(9)は71年のJB's "Food for Thought"の焼き直し。(8)も後述するが焼き直しだ。

 作曲クレジットで見ると、JB単独名義は(5)と(8)のみ。ほかの曲もクレジットはあるが、著作権対策も含めて話半分に見るべきだろう。もちろん全てを支配下に置きたいJBは、何らかの意思を楽曲や演奏にこめてると思うが。

 アレンジで見ると、70年代当時にJBのアレンジをサポートした、Dave Matthewsが(3),(8),(9)を担当。片腕Fred Wesleyが(1)(2)(4)(6)(7)と、(10)~(13)を担当とある。
 JB自身は(1)(2)と(4)~(7)に(10)~(13)へ、アレンジのクレジットあり。すなわちJB視点では(3),(5),(8),(9)が記載なしに見えるが・・・(5)は既発曲、(8)はJB単独作曲。
 うーん。結局は、どれもこれもJBが関与かなあ。なおインストは(2)(3)(6)(7)(9)(11)(13)と半数近い。

 アルバムはバラエティに富んでいる。一小節ファンク一辺倒でなく、濃密なファンクからブルーズ、ラテンから華やかなソウルまで幅広い。子分の意見をかなり採用しつつ、あっという間に仕上げた一枚、かもしれない。
 ホーンやストリングスまで豪華な仕上がりの曲もあり、丁寧に作ってる。決してアウトテイクの寄せ集めにとどまらない。ビッグバンド・ジャズっぽい曲も聴ける。なんだかんだ言って、シングルとは違うアプローチを本盤では取っている。

 本盤からシングルは(8)の"Sexy, Sexy, Sexy"。R&Bで6位、Popで50位まで上がった。これは"Money Won't Change You"(1966)の音源をテープ速度を上げて、違う歌詞を載せたもの。

 わかりにくい文章が続いてるな。つまり、聴きながら混乱してる。
 名盤と諸手を挙げて評価はしづらい。だけど(1)は良い曲だ。ラテン・パーカッションをイントロにファンクな幕開け。豪華な弦とビッグバンド編成で始まり、中盤でガラリ風景が変わる。
 JB色どっぷりのイントロから、急にシカゴ・ソウル風の爽やかな色合いに変化した瞬間の涼やかさは格別だ。JBらしくないが、JBのサウンドであることは間違いない。

 ほかの収録曲も、JBの香りがぷんぷんする。けれど、どっか人任せな隙もあり。くそまじめに耳を傾けるべき盤じゃないのかも。といって、聴く必要なしと切り捨てたくもない。
 やっぱりこの時代のJBは、どう評価していいか非常に困る。気軽にJBの幅広いグルーヴィーさを味わう盤か?

 最後に映画のトレイラーを貼っておく。あんま真面目そうな映画にも見えないなあ。


 映画全編まで、Youtubeにあった。


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