TZ 8113:Talat "The Growl"(2006)

 落ち着いたクレヅマー・ジャズ。今のところ本作のみのリリースとなる。

 フロント2管のクレヅマー・ジャズは当然Masadaを連想するが、本盤はもっと落ち着いてる。整ったアンサンブルで丁寧にメロディを紡ぎ、アグレッシブさもあるけれど根本的なテンポ感は寛ぎや成熟を感じさせた。Masadaの根底にある性急さや緊迫感は無い。

 本盤は時に鮮やかで爽やかな風景を描き、時に実験的だが耳にやさしい丁寧なサウンドを構築する。テーマからアドリブへとオーソドックスなジャズのスタイルを取り、実に美しい音像だ。
 かといって単調さやありきたりのジャズに陥らない。不思議な鋭さが詰まってる。特にトランペットかな。奇妙なエコー感を持ち、きらびやかで奥深い鳴りを魅せる。テナー・サックスはくるくると指が回るソロのスタイル。コルトレーン式だが、フリーキーさは主眼でない。フレーズの合間に音がわずかな軋みを持つていど。

 ベースは着実にグルーヴを支え、ソロになると頼もしく噴出させる。軽やかなタッチでシンバルを叩き、決してビートを崩さないが多彩な手数のドラムも良い。
 だが本盤の全作曲を担当は鍵盤奏者。ピアノと、時にオルガンを操る。

 クレヅマー・ジャズとして聞くなら、意外と楽しめる盤と思う。だがマサダの流れを期待なら、ちょっと大人しいかな。
 なおミックスはビル・ラズウェルが担当した。もこっと漂うような低音感は、彼の手柄かも。

 テーマのメロディは、ときどきヒラリと鋭いきらめきを漂わす。ソロのフレージングやアレンジよりも、メロディとアンサンブルの構築度こそが、本盤の魅力かもしれない。

 しかしバンドは本盤以外、いまだに音源発表がないようだ。ベーシストを筆頭に、それぞれは音楽活動を活発に続けているようだけど。
 このページに、ライブ動画が貼ってあった。2010年、ブラジル・ツアー時の映像らしい。
 
 Alon Nechushtanの14年ライブ映像。2管編成だがメンバーは本盤と全員違う。すでにバンドは解散かなあ。


Personnel:
Producer, Keyboards, Composed By - Alon Nechushtan
Bass - Matt Pavolka
Drums - Jordan Perlson
Saxophone - Marc Mommas
Matt Shulman - Trumpet

Mixed By - Bill Laswell

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