Bulkhead "Gas Giants"(1994:Shimmy 074)

 力任せのサイケ・ロックを、すっきりクレイマーが整理した。


 本盤が2ndにして最終作、シミーディスクからのリリース。だがいまだにBandcampで音源が手に入る。すげえ。7inchやライブ音源まであり。メンバーの誰かが思い入れもって残してるんだろうな。本盤を含むすべての音源がNYP、すなわち無料でも聴ける。

 Bulkheadはボストンの4人組バンド。本盤は93年11月に二日間でさくっと録音された。正直当時はピンと来なかったが、久しぶりに聴いたらヌケの良いパワー・ロックだった。
 クレイマーはミックスとプロデュースを担当。このバンドが一番弱いのはメロディでありボーカルだ。かなり素人臭い。その一方でコーラスのハイトーンは不思議と抜けが良い。
 Bandcampによればボストンでは"Zooks"(1987), "Saw Ya"(1990),"Leaves In Virginia"(1991) のローカル・ヒットを持つバンドという。確かめようがない。なお本盤にはすべての曲が未収録。
 これを完全新作として発表し、バンドを継続はかったが挫折したって構図らしい。

 試しに検索したら2014年10月4日に、ボストンから近いマサチューセッツ州はケンブリッジでの再結成ライブ映像までYoutubeにあって驚愕した。当時は情報なにも手に入らなかったのに。

 
 本盤でのクレイマー色はNoise New Jersey時代なこともあってか、あまり我を出さない。素直にプロデュースしてる。カリカリに硬い音で分離を良くし、中庸に仕上げた。
 唐突に楽曲が展開するアレンジは、うまいボーカリストを立てるだけで印象がかなり違ったはず。

 ギター・リフと吐き捨てるグランジなスタイルにも展開しえたが、バンドの線はかなり細い。ところどころ魅力的なメロディもあるし、カウンター・メロディのセンスも悪くない。きちんと楽曲を煮詰めたら、もっと魅力的なパブ・ロックにもパワー・ポップにもパンキッシュな方向にも仕上げられた。もちろんグランジ路線もあり。

 つまりは、中途半端。いろんな意味で、メンバーの我が強すぎた感がある。腰を据えてクレイマーがプロデュースして、作曲から何から手をかけたら面白くなったはず。
 そんな粗削りで放り出し、石ころとごちゃ混ぜになった原石にも思えてきた。

 積極的に繰り返し聴いて分析するロックとは、ちょっと違う気がする。ただこれを素材として、どう煮詰めるか。そんな思考実験の素材になるかもしれない。 

Produced by Kramer.
Engineered by Steve Watson.
Mixed by Kramer and Tess. Asst. Engineered by Claudia.
Recorded at Noise New Jersey, November 1993.

 盤がほしい人は、アマゾンのマケプレで入手も可能。あんまり、プレミアついてない。


関連記事

コメント

非公開コメント