"Lounge Lizards"(1981)

 粋がった青年たちの青ざめたジャズ風・・・のサウンド。

 ラウンジ・リザーズが個性的だったのは、結局アート・リンゼイのへんてこなギター。あとはジャズを"クール"と捉えたパンキッシュな青臭さが、本盤の特徴だ。ここではジャズのグルーヴが恐ろしく希薄だ。昔のクール・ジャズ的な洒落のめした洗練とも違う。
 「パンクやロックはダサい、ジャズだ」と消去法でジャズを選んだかのような、奇妙な頭でっかちさがある。

 ひっくり返る寸前な音色のサックス、手数多くタイトなドラムが痙攣するビート感を提示する。確かにジョン・ルーリーもアントン・フィアもかっこいい。けれども35年たった今聴くと、本盤はどこか頭でっかちだ。アートの無軌道なギターのみが、かろうじて鋭さを保ってる。

 スピードをもっと加速させたら、ジョン・ゾーンみたいな尖鋭性を得られた。まさにジャズと真剣に向き合い、ファンクネスを取り入れたら別の道もあったろう。ダンス音楽を意識しても良かった。
 だが本盤はあくまで汗をかかない。ジャズのかっこよく不穏なムードを上手いこと抽出した、青ひょうたんな響きが整ったアンサンブルを作った。

 と、否定的に書いてるが。決して悪いアルバムではない。ジャズを換骨奪胎してNY風の冷静で整ったサウンドに仕立て、乱暴なアートのギターを混ぜた懐広い解釈ぶりは、独自の音像だと思う。
 もしサックスのアドリブに魅力があったら。それが物足りない。指癖で吹いてるように聴こえてしまう。

 スタジオ盤の2nd"No Pain for Cakes"は1986年まで飛ぶ。この5年間で残ったのはルーリー兄弟のみ。リズム隊が全交換され、もはや別のバンドだ。
 すなわちルーリー兄弟が個性派を無理やり一つのバンドに収めたのは、本盤だけ、となる。
 そんな刹那性も含めて、どこか整った気取りを残したジャズ風のインストを聴かせる本盤を楽しみたい。



Personnel:
John Lurie - alto saxophone
Evan Lurie - keyboards
Steve Piccolo - bass
Arto Lindsay - guitar
Anton Fier - drums

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