"After Midnight" (1980) Manhattans

 大ヒット曲"Shining Star"を収録した、マンハッタンズの代表アルバムの一つ。

 85年くらいかな、初めて聴いたのは。シティ・ソウルを意識した初めてのアルバムだ。きっかけはもちろん、山下達郎のラジオ。いろんなソウルがかかってて、黒人ソウル・グループのさまざまなバンド名にぐっと来た。シンプルだが、印象深い。これこそ、粋だと。
 このジャンルに詳しくなりたい、と思っても80年代当時は情報得るのに一苦労。ぶっちゃけ、何にも方法が思いつかなかった。とりあえずタワレコだ、とお年玉を握って渋谷へ向かい、あれこれエサ箱をあさり、一番セクシーそうな本盤を選んだような気がする。
 なにせジャケットが絵。むさ苦しい男の絵はない。暖炉の前でにソファが置かれ、ストッキング姿の女性の靴。周りに男の靴も転がる。えろいじゃないか。

 実際、買って大当たりだった。駄曲が全くない。都会的な魅力に満ちている。繰り返し聞いたっけ。
 (1)のキュートな魅力もさりながら、甘いバラード群にとにかく浸った。(8)の洒落たアップも良かったな。シンセと生ホーンや弦がきれいに混じってた。(10)の切ないバラードもはまったっけ。
 今聴いても、やはり名盤。売れ線をきれいに狙いつつ、丁寧なプロダクションで線の細いボーカルを丁寧にくるんでる。

 後述のとおり、作曲家はまちまち。プロデューサーもLeo Graham, Brian Potter, Dennis Lambert, Norman Harris, Bert DeCoteauxと5人を投入した。とにかくきめ細かい作りだ。アルバム全体のトーンは統一され、散漫なところは皆無。
 なおフィリー・ソウルでの有名人、ノーマン・ハリスが関わったのは(6)、(7)、(10)。NYのソウル仕掛人ランバート&ポッターは(4)と(8)を担当した。

 マンハッタンズは都会っぽいバンド名だが、実際はニュージャージー出身。本盤が11thかな。本盤からシングルは(1)/(10)のほか、(3)/(5)も切られた。前者がR&Bチャート4位の大ヒット。後者は30位と微妙なチャートだった。
 本盤発売当時のメンバーは、よくわからない。マンハッタンズの立役者、ジェラルド・アルストンはいたころだ。彼がマンハッタンズを離れるのは1995年。
 
 本盤のジャケットには4人が映ってる。没年から見て、オリジナル・メンバー三人とアルストン、かな?なおWikiによればオリジナル・メンバーは以下の通り。全員が他界している。
George "Smitty" Smith (1939-1970)
Edward "Sonny" Bivins (1936-2014)
Winfred "Blue" Lovett (1936-2014)
Kenny "Wally" Kelley (1941-2015)
Richard "Ricky" Taylor(1940-1987)

 本盤の魅力は総力戦なところ。弦と管がリアリティを持ってサウンドを構築した最後のタイミングであり、シンセもわざとらしいコケ脅かしはなかった。この数年後、どんどん派手なアレンジが業界を席巻する。
 フルレンジのボーカルと、甘いリードの歌声。本盤での歌唱はどちらかというと大人しい。だがサウンドに溶け込み、都会的な洗練されたソウルを紡いでいく。むやみに個性を突き出さず、音楽全体で魅力を高めてく。そんな絶妙のバランスが、本盤だ。

 若いころから聴き続けた贔屓目はあると思うが、いい具合に予算が投入され、それを上手いこと使いこなした録音であり、作品だと考える。


Track listing
1."Shining Star" (Leo Graham, Paul Richmond) – 4:40
2."It's Not the Same" (Darryl Ellis, Leo Graham, Paul Richmond, Ruben Locke Jr.) – 4:40
3."Girl of My Dream" (James Mack, Leo Graham) – 5:00
4."Cloudy, with a Chance of Tears" (Estelle Levitt, Jerry Ragovoy) – 4:48
5."The Closer You Are" (Edward Bivins, Gerald Alston, Kenneth Kelly, Winfred Lovett) – 3:19

6."If My Heart Could Speak / One Life to Live (Medley)" (Eddie Jones, Kenneth Kelly, Winfred Lovett) – 5:35
7."Just as Long as I Have You" (Winfred Lovett) – 3:50
8."It Couldn't Hurt" (Brian Potter, Dennis Lambert) – 4:49
9."Tired of the Single Life" (Robert S. Riley) – 4:00
10."I'll Never Run Away from Love Again" (Barbara Morr, Gerald Alston) – 3:45
Charts[edit]

 本盤のボートラや未発表曲付き再発盤もあるんだ。知らなかった。

 
 昨年、英FUNKY TOWN GROOVESから過去作がボートラ付きで再発。ヒットしたグループは、いまだに音盤復刻の機会多くてありがたい。
     



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