"Three Trumpets"(1957)Art Farmer, Donald Byrd and Idrees Sulieman

 トランペット3本で、ご機嫌でファンキーなオリジナル曲を並べたセッションの快盤。

 音色やフレージングへ耳を澄ませ、各人の個性をたっぷり分析しながらじっくり聴くべきか。「あー、楽しかったっ」と無邪気に味わうべきか。こういうセッション盤は、どっちのアプローチがいいだろう、と考えてしまった。

 リーダーはアート・ファーマー、かな?前年の"2 Trumpets"(1956)でドナルド・バードとの共演盤をさらに拡大し、アートより若干ベテランのイドリース・スリーマンを加えた3本トランペットに拡大した企画盤。57年1月26日に録音、プレスティッジ傘下のレーベル、New Jazzから同年に発売された。
 プレスティッジはこういうセッション盤が好きだな。この企画はアイドリーズに軸足を移し、同年に"Interplay for 2 Trumpets and 2 Tenors"(1957)へ拡大した。ちなみにこちらはアートもドナルドも参加していない。

 本盤、"Three Trumpets"のサイドメンはモダン・ジャズ寄りの"2 Trumpets"より、若干地味にまとめた。ベースはアートの双子、アディソン・ファーマー。ピアノのホッド・オブリエンは本盤がデビュー作、らしい。ドラムは堅実に、エド・シグペン。彼の着実なドラミングが、本盤をファンクよりもスイングっぽい味わいに染めている。

 ぶっちゃけ、聴いててどれが誰のトランペットが聴き分けられていない。音色の違いは(1)が最もわかりやすいかな。息音が滲む人と、手堅く溌剌な人、そしてハイトーンをびしばし決める明朗でリリカルな人。
 大体のソロ回しは音色でわかるけれど、ソロの交代タイミングはボオッとしてたら見失う。小節数を数えればいいのだが、それも無粋だしな。大まかな音色の違いやフレージングの癖は感じるものの、演奏が盛り上がってきたらだめ。アドリブの瞬間だけ切り取ると、三人で一人の大きなうねりを作ってる瞬間も感じた。

 だいたい、三人ともおおざっぱ。(1)のテーマからして、ユニゾンのはずなのにピッチがあっておらず、音色が揺らぐ。息音の滲む人がピッチ低いな。
 ソロの小節数はかっちり平等に吹き分けてる。4小節とか短いタイミングでフレーズを交換する場面がスリリングで、特に楽しい。

 収録曲は後述の通り、オリジナル曲を持ち寄った。楽曲ごとに異なる色合いも聴きどころだ。
 ブルージーな(1)で威勢よくアルバムの幕をあけ、アップテンポの(2)でファンキーにはじける。目まぐるしいソロの応酬が聴きものだ。
 ホッドのオリジナル(3)が素晴らしい。極上のハード・バップ。三管編成が生き生きと盛り上がった。ジャズ・メッセンジャーズに弾いてほしいな。エドの穏やかでジャストなシンバル・ワークはむやみに燃え立たず、クールにまとめた。

 シンプルでおしゃれなハード・バップの(4)も小粋だ。スイングの整った雰囲気を土台に、ビバップの威勢良さを内包した。
 そしてがっつり熱く炸裂した(5)。13分以上にわたり、猛然とアドリブが打ち鳴らされる。

 どの曲も隙が無い演奏ながら、基本はジャム・セッションの気楽な楽しさに満ちている。同じ編成のアルバムがほかにないところから見て、ライブも無かったかも。実にもったいなく、この潔い一期一会ゆえの清々しさが魅力でもある。

 細かく分析もいいだろう。無邪気に一枚を聴くのも間違ってない。刹那的な創作活動が、びっくりする味わい深さを産んだ。

Track listing:
1."Palm Court Alley" (Idrees Sulieman) - 7:48
2."Who's Who?" (Art Farmer) - 6:29
3."Diffusion of Beauty" (Hod O'Brien) - 7:01
4."Forty Quarters" (Sulieman) - 4:34
5."You Gotta Dig It to Dig It" (Donald Byrd) - 13:30

Personnel:
Art Farmer, Donald Byrd, Idrees Sulieman - trumpet
Hod O'Brien - piano
Addison Farmer - bass
Ed Thigpen - drums

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