"Dance Music"(2008)中村としまる

 ノー・インプット・ミキシングボード奏者で膨大なリリースを誇る中村としまるの6thソロ。ドイツのレーベルBottrop-Boyからリリースされた。

 音源は05年9月11日に、王子の小劇場"pit 北/区域"で現代舞踏の公演BGM。リアルタイムのライブ演奏らしい。(1)が約24分で、荒枝志津へ。(2)が約49分の長尺で川村浪子、首くくり栲象のダンス音楽用に、演奏されたようだ。

 (1)はほぼ一定。ハウリングのような響きが延々と続く。ざらつきながら一直線に、まっすぐ。終盤で若干音像が変わる。すうっと透きとおりいったん音が消え、広がりある粒立ちが展開した。

 (2)は冒頭でいきなり一吼え。すっと消えて静かな立ち上がり。じわじわと周波数が芯にまとわり穏やかに太くなった。ひそやかな静けさで。長い一筋のノイズが、定期的に繰り返される。底を這う、高い音で。
 やがて、ボリュームが上がる。じわっと。

 透徹な電子音が持続する。かすかに、低い倍音が聴こえる。空気がわずかに揺らいだ。
 展開はわずかだ。舞踏がその日、どんな展開かは想像つかない。とにかく音楽は抽象的で、リズムもビート感もひたすら希薄。迷いなくまっすぐなノイズが漂った。
 揺れる。ふうわりと。風の力で漂うように。小刻みに畳みかける。新たな低音がしっかりと身をもたげた。クロスフェイドで役割が変わる。

 即興的に、もしかしたら偶発的に音楽は変化する。どこまで中村が自発的に音を制御してるのか。
 ノイズの緩やかな、けれども確実な変化を聴きながら、考えが巡る。

 本盤は長尺で単調に見せかけて、常に音は変貌し続けた。
 
 ちなみに舞踏家の漢字を検索の途中で、こんなページを見つけた。面白いし便利だ。

関連記事

コメント

非公開コメント