"Dark Side of the Moog V"(1996) Klaus Schulze/Pete Namlook(feat.Bill Laswell)

 シンセ魔人二人のアンビエント巨編、第5弾。

 最終的に11作目まで行ったクラウス・シュルツェとピート・ナムルックのユニット、Dark Side of the Moogの第5作目。ナムルックのレーベルFax +49-69/450464 からは2千枚限定発売。のちにAmbient Worldから再発され、後年でも比較的可能だった。上の画像もAmbient World版のデザイン。どうやら現在はCDだとプレミアがついている。
 とはいえ今はi-tunesの配信で容易に聴けるし、Youtubeにも全曲音源が(イリーガルだが)アップあり。


 本盤ではトラックが8つに切られ、(3)と(7)でビル・ラズウェルの作曲クレジットあり。録音はフランクフルトとニューヨークであり、ナムルックがマルチをラズウェルへ送り、NYでダビングを施したか。

 ミニマルでリズミカルな電子音世界が楽しめる。ビート性は決してきつくない。キックの音色やパルス風の打音が密やかに鳴って、ダンサブルさをうっすら漂わせた。
 全編にわたりメロディ感は希薄であり、ごく短いフレーズを繰り返し積み重ね、厚みと奥行きを出す。ミニマル路線では中盤の単調なガムラン風のパターンもあり。

 デュオ・ユニットながら、セッションっぽくはない。たとえ手弾きっぽい音色が鳴っている場面でも。共演とは生演奏のバトルでなく、アイディアの交歓や応酬か。
 ラズウェルが加わった楽曲でも、やはりラズウェルは音像拡大のみに手を加えたようだ。こういうムードメーカーなラズウェルの位置づけは、いまいち理解しづらい。

 アルバムは組曲形式で、決して単一の音像が延々と継続じゃない。ときにノービートのパッド音色がふうわりと漂う場面を挿入し、夢見心地なアンビエント世界も提示。
 けれども穏やかな場面すらも緊張感がどこか残る、単なるBGMに陥らないスリルが本盤の魅力だ。アルバム一枚、約1時間で壮大な物語を描いている。

 とにかくシンセの音色が太くて、気持ちいいんだ。

 なお今回Amazon検索してたら、限定版5枚組ボックスで初期ドイツのレーベル"Made in Germany Musi"より初期Dark Side of the Moog音源のCD再発の情報を見つけた。レーベルの紹介ページはこちら
 Dark Side of the Moog1~4と、前半8作までのベスト盤"The Evolution Of The Dark Side Of The Moog"(2002)をCD5枚にまとめた。"The Evolution Of ~"を収録が座り悪いけれど、面白い企画だ。


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