ヒスノイズと盤起こし

 "Thelonious Himself"(1957)の再発盤には、20分以上にもわたる"Round Midnight"の別テイクが収録されている。入院中、イヤフォンで-podを聴いてたら初めて気が付いた。この音源、ヒスノイズがバッチリ轟いてることに。


 同じ盤でほかの曲を聴いてみると、ほとんど当該帯域をマスクしてヒスノイズが目立たない。けれど、ヒスノイズをいったん意識してそれらの音源を聴くと、やはりモコッとノイズの残滓を感じる。さらにノイズ・リダクションの影響で音のエッジが微妙に丸くなっている。

 CD音源へ耳が移行して早数十年。そうだよ、テープ・ヒスってあったっけ。カセットでエアチェックするとき、ドルビーBだCだってやってたもの。
 ノイズ・リダクションかけるぶん、音質はどうやったって変わる。アナログ時代は、ノイズとの戦いだった。LPだって、針音や静電気がないかハラハラしながら聴いていた。
 だからデジタル、CDになって一切のノイズを気にしなくなった。ハードへの気の使い方も、雑になった。ピックアップのクリーニングもしないし。ましてや光ピックアップの機能や性能を意識してハードも選ばないし、CDを聴くこともない。
 
 テープ・ヒスまみれの"Round Midnight"を聴きながら、「オリジナルはこのノイズがないんだよな」と思ってた。ノイズが邪魔なんじゃない。空白が、ブランクが無音でなくノイズが乗ってることがもどかしい。本来、その瞬間は無音であったはずだ。

 改めて当時のジャズを、イヤフォンで聴いてみる。大なり小なり、ヒスノイズやその痕跡ある音源がほとんど。テープの宿命として、マスターそのものからヒスが避けられない。

 そこで、盤起こし。再発マニアからしたら、盤起こしって手抜きって価値観だった。90年代あたりは特に。マスターから起こしてリマスターしろよ、と。
 いっぽうでオリジナル・プレスのLPはヒス・ノイズって、ほとんど無いんじゃなかろうか。
 もし盤質の良いLPから起こしたら、何回も回したマスターよりエッジの立った音がするんじゃなかろうか。試しに聴いてみたいなあ。
 

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