プリンス新譜

 今年9月発売の新譜"HITNRUN Phase One"から数か月。早くも新譜"Phase Two"が数日前、Tidalのみで発表された。

今のところ、フィジカル・リリースは無し。ただし12/8頃に「マスターをワーナーへ渡した」ってツイートも出回っており、もしかしたら近日にCDで出るかも。いや、出て欲しい。日本じゃTidalは聴けないし。
http://listen.tidal.com/album/50767183

 収録曲が興味深い。前々作"ART OFFICIAL AGE"(2014)とも関連する、ここ数年のシングル曲で本盤に漏れた楽曲を収録した。"ART~"と"HITNRUN Phase One"と、本盤"HITNRUN Phase Two"と三部作かのよう。

<収録曲>
01 Baltimore
02 RocknRoll Love Affair
03 2 Y. 2 D.
04 Look at Me, Look at U
05 Stare
06 Xtraloveable
07 Groovy Potential
08 When She Comes
09 Screwdriver
10 Black Muse
11 Revelation
12 Big City

 まず"HITNRUN Phase Two"の楽曲から見よう。"HITNRUN Phase Two"12曲中、6曲がシングルのアルバム化になる。
 "Baltimore"は今年5月の事件を受けたプロテスト・ソング。まだYoutubeで聴ける。

 (2)は2012年、(5)は2015年で(6)は2011年。(9)は13年に発表済のシングル曲で"ART~"に未収録の曲。(7)は3rdEyeTunes.comで2013年に発表。

 なお未だ非アルバム化な、最近の既発曲は以下が残る。
2014 "Fallinlove2nite"
2015 "Free Urself"

 さらにPrince Vaultによれば(http://www.princevault.com/)、(3)と(12)は2013年、(8)は2011年、(10)は2010年、(11)は2015年にライブで披露済。
 つまり完全新曲は(4)の1曲だけ、なありさまだ。

 "ART OFFICIAL AGE"からの共通点はJoshua Weltonを強力に関与させたEDM。"Art~"では重要な要素、だったが"Phase One"では主要素にまでヨシュアの存在感が高まった。逆説的にプリンスの肉体性はどんどん稀薄になっていったが・・・。本"Phase Two"でプリンスの生演奏を強調し、生々しさを取り戻す趣向、かもしれない。まだ"Phase Two"の音を聴いておらず、何とも言えないが。

 もともとプリンスは肉体性よりシンセや打ち込みを見事に使ってファンクネスを表現してきた。ところが遡れば"Batman"(1989)あたりから、機械リズムとの格闘を初めて、聞き手としては距離感をつかみきれずに戸惑い続けてた気がする。
 そもそもプリンスは多重録音を最大の強みとしながら、すべてを生演奏できる技術を備えていたがゆえに。
 たぶんプリンスが90年以降から全て生演奏の多重録音を通していたら、ここまで毀誉褒貶にならなかった。

 プリンスが本当の意味でのアルバムを発表したのは"Parade"(1986)までだ。
 "The Simbol"(1992)など、ところどころで新曲をまとめたアルバムはもちろんあるけれど。根本のところで、プリンスは録音する自由を手に入れてしまった。
 その後は膨大なトラックを録音し、新曲と併せて無造作に、過去の録音を蔵出ししてきた。過去作だろうと公式に発表したときが新曲といえる。なにも新曲純粋主義に陥る必要はないのだが。
 だが、ブートで流出音源が改めて"新曲"と発表されるのは、ちょっとなんかしっくりこないとこもある。

 ともあれ膨大な活動を断片的に発表するプリンスが、過去作を綺麗にアルバムへまとめてくれるのは嬉しいこと。あとは手軽に聴けるかどうか。
 どうもここ20年くらい、ワーナーと揉めた後のプリンスは素直にリリースしてくれないんだよな。インターネットが輪をかけて複雑さ増している。

 ポップミュージックでありながら、入手にポピュラリティ無いってのが、プリンスのもっとも前衛的なとこではなかろうか。
 

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