TZ 0002:"The Stone,Issue One"(2006) Dave Douglas/Rob Burger/Bill Laswell/Ben Perowsky/Mike Patton/John Zorn

 そうそうたるメンツのインプロを収録した、NYのライブハウスThe Stoneベネフィット盤の第一弾。

 
 ジョン・ゾーンが主宰するハコ、The Stoneはチャージが無く売り上げは全てミュージシャンへ行く。よって会場維持のため、ちょっと高めのチケット代でインプロ・セッションを行い費用を稼いでる。本盤はそのセッションを音盤化し、こちらの売り上げもStoneの維持に回された。
 興味深い試みだし支援もしたい。日本へ輸入段階でえらく高くなるのが難点だが。しかし面倒になったのか、2010年に第4弾をリリースして音盤化は頓挫してる。残念。

 本盤はトラックを8つに切り、ひとつながりの構成を意識した。実際のサウンドは奔放に流れ、特にストーリー性や起承転結は無いのだが。

 参加メンバーはTZADIK馴染の顔ぶればかり。Ben Perowskyがちょっと馴染み薄いが、折々にTZADIK盤にもサイドメンで参加した。彼のリーダー作も"Camp Songs"(2003)がTZADIKより発売有り。

 本盤では緩やかなテンポでアンビエント的な展開を混ぜることで、ドラマティックさを提示した。決して力技のハイスピード一辺倒では無い。場面ごとに目立つ奏者は異なるが、たぶん即興だ。編集も無く、ワンセットひとつながりを収録に聴こえる。
 (3)の終盤ではMasadaの曲が顔を出し、ゾーンとダグラスがテーマを奏でた。

 ロブ・バーガーのオルガンがサウンドにフュージョンか後期マイルスっぽさを出し、硬質なインプロに彩りを与えてる。ビル・ラズウェルは相変わらず着実に低音を刻み、グルーヴよりは場面の広がりに貢献した。ベン・ペロウスキーはジャストでドラム・セットを叩いてフラットな音像を作る。
 
 そこへ思い思いに、フロント三人が出張る。エレキギターのディストーションみたいな音色は、バーガーが鍵盤で出してるかな。
 ソロ回しとは無縁、しっとりしたテンポでは互いが緩やかにアドリブを絡ませる。いちおう4拍子をキープしつつ、浮遊感が全編を覆う。

 "インタリュード"と名付けられた三つの短いトラックがある。パットン、ダグラス/ゾーン、ラズウェルの名前が冠されて。これらが、いい感じに音楽の流れへメリハリを出した。別に完全ソロでは無く、あくまでひとつながりな即興の一里塚として他のメンバーも音を出している。
 
 停滞しそうなムードになると、ゾーンの鋭いサックスが咆哮し場面が引き締まる。この弛緩させないセンスもさすが。
 改めて聴き直したが、すごくかっこいい即興セットだ。濃密な息吹が、過不足なく収まった。聴いたこと無い人には、お薦め。ジョン・ゾーンの印象が変わる一枚、かもしれない。

Personnel:
Dave Douglas – trumpet
Rob Burger – organ, electric piano
Bill Laswell – bass
Ben Perowsky – percussion
Mike Patton – voice
John Zorn – alto saxophone

 

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