TZ 0004:"The Stone, Issue Three" Lou Reed, Laurie Anderson, John Zorn (2008)

 ルー・リード夫妻とのインプロ・セッションを収録した、NYのライブハウス、The Stoneベネフィット盤の第三弾。

 ジョン・ゾーンが経営するライブハウス、Stone。ここは非営利運営を表明し、チャージは全てミュージシャンへ行くという。よってハコを維持のため、ときおりインプロ・セッションで収益を稼ぐ。本盤その一環と、ジャケ裏にもその旨書かれている。

 したがって普通のTZADIK盤が$16に比べ、本盤は$24と高め。このへん、ゾーンは値付けにもためらいなく清々しい。それでも日本に比べれば安い。とはいえ輸入盤だともろもろ手数料が乗っかり、えらく高くなってしまうのだが。

 ロックスターで前衛にも躊躇いないルー・リードが、ジョン・ゾーンと競演は今ならば不思議じゃない。とはいえ、当時は驚異だった。デュオでなく、ローリー・アンダーソンを加え音像に厚みを出す。
 ルーは歌わずエレキギターでインプロに専念、歌伴じゃないのは嬉しい一方でちょっと残念。一曲ぐらい歌って欲しいが、契約がらみとか色々あったのかも。

 サウンドは混沌なインプロが延々と続く。ソロ回しでは無く、集団即興だ。わずかにルーがメロディっぽい物を弾く場合もあるが、ほとんどはフィードバック中心のノイズ。甲高い音色から太い響きまで、幅広い音色をエレキギターから引きだした。
 どちらかと言えば空間的な響きがローリーか。ステージ写真を見ると、鍵盤とバイオリン、エレクトロニクスを使い分けのようだ。

 ゾーンはアルト・サックス一本のみ。フリーキーに吹き鳴らすいつものスタイル。ノイズとクリーン・トーンの双方を吹くが、どうにも座りが悪い。
 本盤はフリージャズの文脈で聴くならそれなりに楽しめるが、いわゆるゾーンとリードの生きざまをぶつけ合ったとは言い難い。正直、知名度が先に立った無秩序さだ。
 のびのびと自由な即興を楽しめるならば、本盤を味わい深く聴けるだろう。

 ただし2曲目の中盤でディストーション効かせたエレキギターをルーが掻き毟り、ゾーンがフリーキーに吹きまくる。そんな瞬間は、いわゆるパブリック・イメージ通りの展開だ。
 そんな類型的な展開を奏者らが嫌ったからこそ基本は混沌な即興であり、観客へのサービス精神があるからこそ、期待通りの音像も本盤で聴ける。

 ゾーンとリードの接点や初共演がいつかは知らない。ただし本盤一回限りでは無い。Youtubeには東日本大震災を支援ライブや、その他の共演ライブがいろいろ出てくる。ちょっと検索で出てきたのを、まとめてみた。けっこう共演してるな。
 以下の情報だけだと、マーク・リボー繋がりで08年のセッションが切っ掛け、に見える。
 だが本盤の発売は2008年4月、つまりさらに前。本盤の録音クレジットは無いが、いつのライブだろう。2008年1月10日にこの三人のライブがStoneであった。この日だろうか。

2008-09-04 Le poissonrouge, New York City /John Zorn - Lou Reed - Marc Ribot - Milford Graves
https://www.youtube.com/watch?v=zJsfm6ziYtc

2008-09-23 Alcatraz, Milan, Italy/ Lou Reed - John Zorn - Mark Ribot
https://www.youtube.com/watch?v=GAACUIYSmTg
https://www.youtube.com/watch?v=vjVb1dSzzeE
2009-02-08 Poisson Rouge, New York NY/ John Zorn Lou Reed Mike Patton
https://www.youtube.com/watch?v=25mDAvDAGjQ
https://www.youtube.com/watch?v=e5_AGxan6iA
https://www.youtube.com/watch?v=xIvm2mkNsoQ
2009-08-13 Jazz Middelheim https://www.youtube.com/watch?v=leFkCo31laU
2009-08-19 Jazz Middelheim
https://www.youtube.com/watch?v=IheiVMgnES0
https://www.youtube.com/watch?v=k1Wgm8QRUwM
2009-09-04 Paris https://www.youtube.com/watch?v=JhaUDl4jbS0
2010-07-02 Jazz de Montréal https://www.youtube.com/watch?v=nbHGGecR4_w
2011-04-08 "Concert for Japan" in NYC at Japan Society
2012-09-14 Joshua Light Show, NYU Skirball Center/ Lou Reed, John Zorn, Bill Laswell, Milford Graves
https://www.youtube.com/watch?v=DLdCVPfZpqg
https://www.youtube.com/watch?v=NGFslC1JgK4

Personnel:
John Zorn: Saxophone
Laurie Anderson: Violin, Electronics
Lou Reed: Electric Guitar

せっかくなのでここでは、東日本大震災支援のインタビューとライブ映像を貼っておく。
 

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