TZ 7389:John Zorn "Nova Express" (2011)

 1964年に刊行なウイリアム・バロウズの著作(邦題:"ノヴァ急報")にインスパイアされた作品。ジョン・ゾーンが仕切った、順列組合せ疑似バンド編成の作品だ。

 姉妹作として同メンバーでの作品に"At the Gates of Paradise"(2011)、"Dreamachines"(2012)、"On Leaves of Grass" (2014)。
 数人のミュージシャンをを加えた拡大編成の作品に"A Vision In Blakelight"(2012)、"The Concealed"(2012)がある。

 冒頭こそ荒っぽい響きに身構えるが、全編では整った名手らのアンサンブルをたっぷり聴ける。ゾーンの作曲術は不明だが、アレンジと指揮でもゾーンがクレジットされており、マサダからドリーマーズ的に進化したアプローチか。つまりテーマと構造を設定し、その場のキューで進行を盛り上げる。第一の口を出す聴き手としてゾーンがいるかのよう。
 この手の順列組合せなゾーンの作品は、ゾーンの存在感はぱっと音から出てこない。しかし何枚も聴くにつれ、明確にコントロールするゾーンのたずなをしっかり感じる。透徹で明瞭だが、不穏な混沌を奥底に潜ませる。

 バロンのせわしなく疾走するリズムを、ダンのベースがカッチリ引き止める。緩急を二人で自在に作った。ピアノとヴィブラフォン、特に主役のせめぎ合いは無い。メデスキがリズム・パターンも弾くため目立つが、特にウールセンがソロ専門ってわけでもないらしい。
 ミニマルなリフを積み上げるかたちで、不定型な突拍子もない曲展開は無い。あくまでも整然とコントロールされ、音像はわずかに不穏な香りを保つ。
 全10曲、曲を並べるかたちでアルバムを構成した。テーマはしばしばユニゾンされ、明確な譜面の存在を伺わせる。

 ゾーン生誕60周年ツアーとして13年4月6日のライブ音源で、本バンドの映像があった。

 演奏は本盤収録の(10)。これを見るとCDと若干異なっており、フレーズもけっこう自由度ありそうだ。ゾーンがときたまキューを送り、奏者の出やニュアンスを指揮の様子もわかる。がちがちにコントロールせず、まさに第一の聴き手みたいな立ち位置で。座ってるけど。

Personnel:
Joey Baron - drums
Trevor Dunn - bass
John Medeski - piano
Kenny Wollesen - vibes

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