TZ 7394:John Zorn "Mount Analougue" (2012)

 ジョン・ゾーンの疑似バンド編成で、幻想的でタイトな組曲が楽しめる一枚。

 布っぽい手触りで本のように豪華なジャケット。このころのジョン・ゾーン作品はジャケットが凝ってるが、本盤もChippyのセンスが冴えたデザインだ。特に創作力が噴出した月刊ジョン・ゾーンな時代の一枚で、オカルティックな思想家ゲオルギイ・グルジエフを題材に選んだ。
 
 サウンドは当時のゾーンが多用した順列組合せで、疑似的にバンド風の編成を作りタイトながらラウンジ風の寛ぎも同居する、ジャズ寄りのアンサンブルを提示のパターンだ。層の厚い馴染のミュージシャンを入れ替えながらアルバムを完成させる本手法は、サウンドの奥にゾーンのコンセプトを秘めつつも、楽曲は素晴らしく整って心地よい。

 わずかなラテンへの繋がりはあるものの、端正に整ったメロディからはユダヤ要素も含めて民族性は注意深く除かれた。さらに現代音楽での激しい跳躍や、耳ざわりな音色も無い。あくまでも美しく静かで、さりげなく緊迫した世界がつむがれる。

 本盤はシロ・バティスタのバンドBanquet of the Spiritsから、シロの他にBrian Marsella、Shanir Ezra Blumenkranz、Tim Keiperをピックアップ。そこへKenny Wollesenを加えた。パーカッション重視のBanquet of the Spiritsの馴染んだアンサンブルへ、新要素であるパーカッション奏者をさらに足す過剰さがコンセプト。

 このケニーが奏でるヴィブラフォンがサウンドに幻想ムードを付与し、さらにゾーンの楽曲を演奏で物語性を強固にした。
 演奏手法的にはファイルカード方式を採用らしいが、当時のめまぐるしさはきれいに消えている。むしろDreamersのように、簡単なハンドキューでゾーンが指揮とも想像する。小節でなくブロックごとにファイルカードを変更か?

 ブックレットの文章を読めてはいないけれど、長文のテキストが掲載あり。おそらく何楽章にも分かれた構成を踏まえた曲だろう。
 とはいえCDとしては38分一本勝負。楽曲集、ではない。
 組曲のように幾度も楽想は変化するけれど、楽曲は一つとして本CDでは表現された。あまり大曲のようなストーリー性はうかがえないため、もっと細かくインデックス切って欲しかった。楽章ごと、とか。それが本盤への注文かな。 

 トロッと静かなムードへ、つい聴き入ってしまう。譜面の合間に即興有と思われるが、区別はとても難しい。全員が演奏、とても上手いから。
 
Personnel:
Cyro Baptista - percussion, prayer bells, vocals
Brian Marsella - piano, organ, vocals
Shanir Ezra Blumenkranz - bass, oud, gimbri, vocals
Tim Keiper - calabash, drums, percussion, orchestral bells, vocals
Kenny Wollesen - vibraphone, chimes, vocals

Composed By, Arranged By, Conductor, Producer - John Zorn

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