TZ 7084:Elliott Sharp "String Quartets 1986 - 1996"(2003)

 エリオット・シャープによる弦カル集。本人の丁寧な作品意図がライナーあり。ひりひりと緊張した空気が全編を覆う。

 軋み音が噴出する、奇妙で前衛的な弦カルが詰まった。どことなくドローン風味あり、派手な跳躍がないところが特徴か。和音の響きにもこだわってそう。

 (1)はMeridian String Quartetの委嘱で、96年の1月ににカーネギーホールで初演。本盤へは同年6月に、Meridian String Quartet自身がスタジオで再演版を収録した。

 (2)はプリペアード・ギター用に書かれた曲を、弦カルに編曲した異色のコンセプト。(3)は別のオーケストラから委嘱作品を弦カルに編曲版。全て特別ピッチに調律された開放弦のみで演奏され、モジュレーションも狙いだそう。すさまじいキイキイ音が響き渡る。(4)や(5)も同じセッションで録音された。グルーヴ解体がテーマらしい。

 (6)はフィンランドの弦カルから委嘱曲。エレキギターのフィードバックみたいな音も聴こえるな。
 残る(7)や(8)は91年、湾岸戦争のころに作曲された。
 これらすべてがE#の作曲プロジェクト"Identity"の一環らしい。ライナーを読んでも今一つ理解できてないのだが。

 しかしさまざまな委嘱をE#が受けてると実感。アヴァンギャルドの前衛奏者でクラシック界とは無縁の印象だが、現地アメリカではE#の立ち位置って、もう少し現代作曲家って寄りの認知度なのかも。

 なおTZADIKのコンポーザー・シリーズの常として、楽譜もライナーに掲載。これが全く解読できない。(3)あたりの作曲っぽいが、四角の中に拍子とボウイングか何かの記号が記され、細胞記号みたいに無機質な羅列があり。アイディア先行で、メロディはさほど重視しない様子が良くわかる。

 たとえばジョン・ゾーンが多少なりとも旋律に拘るのに対して、E#は逆。コンセプトやアイディア偏重で、よりリズミックだ。本盤では音程の動きはあるけれど、スリリングな弦をこする音色そのものに魅力を感じる。

 本盤で演奏の弦カルは2種類。
 (1)のみで演奏のMeridian String Quartetは、Lisa Tipton (vln)がNew York Youth Symphony、Sebu SirinianがStamford Symphony。
 Liuh-Wen Ting (va)がWhstchester Philharmonicに在籍。個人WebあったWolfram Koesselの経歴も含め、完全にクラシック畑の奏者が集まった。

 もう一方、本盤の残り全てで演奏のSoldier String QuartetはWikiがあり。こちらはポップとクラシックの双方を演奏するユニットで、メンバーはガラガラ変わってるみたい。E#の弦楽作品にも多数参加の他、わが愛しのGuided By Voicesのメジャー発売盤で、リック・オケイセック(元カーズ)がプロデュースした"Do the Collapse (1999)でも、弦で参加のクレジットあった。思わぬところで、ぼくの興味がつながった。

Personnel:
Meridian String Quartet
Cello - Wolfram Koessel
Viola - Liuh-Wen Ting
Violin - Lisa Tipton, Sebu Sirinian

Soldier String Quartet
Cello - Mary Wooten (tracks: 2 to 8)
Viola - Ron Lawrence (tracks: 2 to 8)
Violin - David Soldier (tracks: 2 to 8), Laura Seaton (tracks: 2 to 8)

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