TZ 8011:John Zorn "Rituals" (2004)

 オカルティックだが奇妙に親しみやすい、ジョン・ゾーン現代音楽の初期作品。

 もともと88年にthe Bayreuth Opera Festivalで初演された。本盤発表にあたり04年に改めて再演している。
 5楽章編成でHeather Gardnerのオペラティックな歌を前面に出す。奏者は10人で、ゾーンの現代音楽では馴染のBrad Lubmanが指揮をつとめ、Jennifer Choiらが演奏した。

 ライナーの解題によれば、舞台デザインや衣装、照明も含めた作品だ。舞台はスモークがステージ奥に漂い、蝋燭の照明を理想とする。神秘的な言語による文章が、舞台奥かスモークそのものに投射を目指す。この投影は楽章ごとに変わり、楽章の変化に合わせクロスフェイドを理想とするそうだ。
 さらに生きたフクロウを何らかの形でステージに上げることも推奨する。

 これらのイメージから連想は、悪魔的な祭式。すなわちキリスト教文化を元にしつつも、魔術的なおどろおどろしさを表現する。非倫理的な方向でなく、あくまでもオカルティックな異世界さのみを狙うが。

 音楽も抽象的で、場面ごとにくるくると表情が変わる。けれども聴きやすいのは、どこかポップさが残るためだ。たぶん計算や数秘術的なアプローチも、作曲には施されている。
 ノイジーな楽器の軋みや、奇妙なパーカッションによる風切音など、非音楽的な要素も満載だ。しかしファイルカードでの即興みたいに、瞬発力良く場面変化する小気味よさと、ゴシック風味の非現実性がもたらすムードのおかげだろう。
 いたずらな現代音楽の実験性を超えた、幻想世界のBGMみたいな風味を感じた。

 全27分と、短い作品。LPでも短めな尺だ。これだけでCD1枚に仕立てる、発表できることこそ、TZADIKという自レーベルを持った強みだろう。 

Personnel:
Jennifer Choi - violin
Fred Sherry - cello
Tara O'Connor - flute, alto flute, piccolo
Michael Lowenstern - clarinet, bass clarinet, E-flat clarinet
Peter Kolkay - bassoon, contrabassoon
Jim Pugh - trombone
Stephen Drury - piano, harpsichord, celeste, organ
Kurt Muroki - bass
Jim Pugliese - percussion, wind machines, water, bullroarers, gravedigging, fishing reels, paper, bowls of BBs, bird calls
William Winant - percussion
Heather Gardner - voice
Brad Lubman - conductor

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