TZ 7202:Ruins "Hyderomastgroningem" (1995)

 偉大なるドラム/ベースの最小ロックバンド、ルインズ3代目ベーシスト時代の傑作。

 曲がりなりにも、とっ散らからぬキチンとしたアルバムって印象だ。これ以前のルインズは、かなりラフなアルバムもあるため。

 ルインズはもともと膨大なリリースを誇り、全貌がつかみづらい。本盤は何作目のアルバムと言えばいいんだろう。断続フレーズの積み重ねと高速なキメの連発、そしてタイトな即興。プログレのさまざまな魅力を蒸留したかのようなバンドだ。
 ベーシストが代替わりするごとにコンセプトが明確化し、当初のパンキッシュな勢いとくっきりしたメロディの対比から、変化してきた。
 
 ベーシストの増田の時代は、そもそも増田がギター弾きな点も加味し、メロディアスかつアンサンブルの重心底上げがなされたと思う。最小ロックバンドの味わいがより純化。変拍子の切れ味も鋭さを増し、複雑怪奇なアレンジがさらに歯切れ良くなった。
 そしてルインズ自体は、ベースが佐々木恒に変わった時点で至高となる。

 さて、本盤。1分未満の小品も含めて、20曲ものボリュームを突っ込んだ。
 ぼくは"Pig Brag Crack"が大好きだ。ダイナミックに畳み掛ける勢いの鋭さと、ポップな展開にやられた。この曲はのちのライブで演奏した印象は無いものの、Sax Ruinsで再演されて嬉しかったな。

 本盤を聴いててベースとドラムって構造をあまり意識しないのも、本盤の特徴。二人で再現できないオーバーダブは無いと思うが、高音域も増田は積極的に使い、バンドの音域を広げた。
 その後のライブにつながるレパートリーとしては、"Gravestone"あたりか。それほどルインズのライブを聴いてきたわけではないが。

 惜しむらくは本盤、妙に音が籠ってるところ。そもそもルインズは特に初期盤の音質が酷い。リマスター再発で改善する場合もあり、マスタリングで何とかなるとこもあるようだ。

 録音は93年12月にMartin Bisiの手による。単なる録って出しでなく、リバーブや音質など色々工夫してるみたいなのに。なんとも惜しい。TZADIK盤ゆえ難しいかもしれないが、もっとメリハリ効いた音で本盤を聴きたい。

 なお本盤はジョン・ケージに捧げられた。理由はいまひとつ解釈できてない。

Personnel:
増田隆一: Bass, Vocals, Radio
吉田達也: Vocals, Percussion, Drums


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