ジャズ復権希望:村上春樹効果で

「さよならバードランド」ビル・クロウ:著/村上春樹:訳(1996/新潮社)を読んだ。
 スウィングからビバップ、クール・ジャズあたりの時代を軸にした、細切れにエピソード繋ぎつつ自叙伝風に、ジャズ界を描いたエッセイ。完訳では無く後半は訳者の独断で、ばっさりカットされている。
   

 著者のビル・クロウは1927年生まれで40年代後半から活動を始める。ビッグ・バンドがそろそろ斜陽、各種の店でハコバンが流行ってた頃の時代。ハードバップに通じるミュージシャンも出てくるが、あくまでビルはオーソドックスにスイングするスタイルだ。
 たとえば、こんな感じの演奏。これは最近の動画だが。


 本書の末尾に訳者が70頁ほどのスペースを取って、本文ゆかりのジャズLP紹介をやってる。これがまた楽しい。一枚一枚は、さほど突っ込んで紹介してるわけじゃない。三段組で上2段にエッセイ、下一枚がジャケ写。
 ところが次第に筆が載ってきて、どんどん文章が長くなり上下が全く合わなくなってくる。分かりにくいことおびただしいが、それが面白い。いやはや世の中には、知らないジャズがいっぱいあるなあ。

 この訳者こそ、村上春樹。こないだも紀伊國屋書店が9万部だかを買い占めで話題を呼んだ売れっ子だ。
 なぜ本書も改めて売らない。そしてCD屋と組んでフェアをやらないのだ。握手権みたいな紙っぺらを拡販ツールにする今日この頃、作家人気に便乗してジャズのCD売っても良いじゃないか。

 べつに買う人がCD聴こうがどうでもいい。肝心なのは、お金が業界にちゃりんちゃりんと流れ込んでくること。そしたら景気がまわって、もっとマニアックなCDが再発されるかもしれない。
 本書のレコード紹介のうち、何枚CD化されてるかなあと思いながら、そんなことをつらつら考えていた。

 たとえば玄人受けLP、と紹介がClark Terry/Bob Brookmeyer Quintet"Tonight"(1965)。面白そうだな。村上はピンとこなかったようだけど。別に村上の趣味はどうでもいいし。
 

 なお村上によると「特に熱心にあつめたわけではないのだが、目についたものを買っているうちにけっこう沢山レコードがたまってしまった」というのが、モーズ・アリソン。聴きたいと思うわりに、聴きそびれてる。
 どばどば村上効果で再発されて、市場に出回らないものか。小粋でいいじゃんね。


 モーズ・アリソンはちょうど今年、CD5枚組でLP12枚分の廉価盤Boxセットが出てた。だれか村上春樹ファンが、この盤を俺にプレゼントしてくれないものか。

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