ジミー・スミス考

 ジャズ・オルガニストの先駆者、ジミー・スミスの150曲ものMP3を600円で販売する、超廉価盤"150 Jimmy Smith Essentials"。ようやく一通り耳にした。いいね、これ。入門編に最適だ。たぶん全てブルー・ノート時代。のべLP21タイトル分の音源を詰め込んだ。

 しめて約18時間もの音源を入門編、というかは別にして。手ごろな値段でまとめてジミー・スミスを改めて聴いたら、いろいろ楽しめた。
 音質は総じて、良くは無いけど悪くも無い。MP3なりの音だから、外出先で気楽に聴くなら十分。改めてこれをきっかけに、ちゃんとした盤を買い揃えればいい。

 ジミー・スミスを聴いたこと無いなら、CD一枚買うより安い値段なんだ、これで十分。その意味で、これは入門盤、だと思う。
 LPにして21タイトルの一覧は後述する。全曲収録じゃない盤もあるみたい。

 そもそもこの盤で悩ましいのは、オリジナルLPのタイトルや録音年が不祥なところ。以下のLPタイトルとの対比も、あってるか自信ない。収録時間やWikiの曲タイトル、モノによってはYoutubeの曲と聴き比べて大体のところを整理した。
 曲の並びも恣意的で、特に録音セット順じゃないみたいだ。このへんのいい加減さが、本ボックスの最大の難点。ただしそこに目をつぶれば、この盤は決して悪くない。

 ずっと聴きならべてると、じわじわジミー・スミスの魅力がイメージ湧いてきた。
 すげえグルーヴィだ。ジャズ・オルガン界でジミーは先駆者らしい。Wikiによればまず、音色が特徴的という。

 『音色(16'、5-1/3'、8'のドローバーを全開にし、3rdパーカッションを入れた)と下鍵盤で演奏する左手ベース(足鍵盤を軽く蹴って音程感のないアクセントをつけ、ウッド・ベースの様な音色にした)』
 
 あのブワッと丸く弾ける音色が、ジミーの専売特許だったらしい。もっともジミーはアルバム並べて聴くと、じつに地味だ。愚直と言えばいいか。売れっ子で膨大なアルバムを出したわりに、商売っ気はほとんど無い。
 少なくともブルーノート時代は真面目に、馴染のメンバーを大事にしながら音楽を連ねた。

 彼のファンキーさの根拠は、繊細で強靭なシンコペーションと、ビバップ直系のきめ細かいフレージング。ピアノ的な細かい音色と、オルガンの伸びやかな白玉を自在に弾き分ける。
 リズム・センスが欲しい。猛烈に拍裏を食いまくる彼の演奏は、リズム取れる人ほど楽しめるはず。さらにジャム・セッションでは小節の頭も変えてるように思えてならない。

 聴きながら「一ト二ト三ト四ト」ってリズム追ってると、途中ですごく居心地悪くなる。長尺のジャム・セッションだと顕著だ。つまりフレーズ展開が一筋縄でいかない。
 なんとなく一拍めを起点に聴いてたはずのアドリブ・フレーズのアクセントが、途中で、するりとズレて聴こえない?いつのまにか二拍目や四拍目がフレーズの頭になり、しばらくすると一拍めや三拍目にフレーズの頭が戻ってる。

 だらっと聴いてたら、特に違和感はないのに。
 つまり強固なダンサブルさを保ちつつ、無意識に期待を裏切るフレーズ構成。そんなアプローチを持ってるような気がする。ああ、リズム・センスが欲しい。正しいか勘違いか、自信が無い。

 LPごとの変わらなさ、もすごい。普遍的なアプローチで、特に自作に拘ったり、サイドメンをコロコロ変えもしない。例えばここを見ながら聴くと分かる。
http://www.jazzdisco.org/jimmy-smith/discography/
 ジミーのアルバム・デビューは1956年、31歳の時。ある意味、遅咲きだ。しっかりと自分のサウンドを作ってから売れたのかな。

 大きく分けてジミーのセッションは二つに分かれる。オーソドックスなトリオ、ときにホーンが加わる。もうひとつがブルー・ノートの売れ線メンバー並べた商売っ気。
 オーソドックス編成は、ギターとドラムのトリオ。ジミーはがらがらメンバーを変えたり、派手な共演で話題性作りはしない。

 ギターはThornel Schwartz、Eddie McFadden、Quentin Warrenと変化するくらい。ドラムはBay Perryが冒頭、あとはずうっとDonald Bailey。バンド・サウンドを意識したのか、売れっ子で次々LP出すわりにメンバーは仲間をほとんど変えなかった。
 
 もう一方の売れ線編成は、Lou Donaldson(as),Kenny Burrell(g),Art Blakey(ds)といった顔ぶれ。57年の2月にはDonald Byrd(tp)やHank Mobley(ts)も加わり、マラソン・セッションを繰り広げた。3日間で27曲、LP5枚分かな。

 しかしジミーは、こちらの売れ線路線に溺れない。基本はオルガン・トリオ。ときにLou Donaldsonが加わるとか。うーん、まじめだ。チャラつかない。

 LP21枚分を並べて聴いたら、音楽的な変遷は若干あるみたい。しかしボリュームが多すぎてぱっと定義できない・・・また頭から聴かねば。
 
<収録アルバム>
1956:"Jimmy Smith At The Organ, Vol. 1 - A New Sound-A New Star"
1956:"Groovin' at Smalls' Paradise"
1956:"At Club Baby Grand"
1957:"Plays Pretty Just for You"
1957:"Jimmy Smith Trio + LD"
1957:"The Sounds of Jimmy Smith"
1958:"Six Views of the Blues"
1958:"Cool Blues"
1958:"Houseparty"
1958:"Standards"
1958:"Small's Minor"
1958:"The Sermon!"
1958:"Softly as a Summer Breeze"
1959:"Home Cookin'"
1960:"Midnight Special"
1960:"Plain Talk"
1960:"Crazy! Baby"
1960:"Open House"
1960:"Back at the Chiken Shack"
1961:"Straight Life"
1962:"Plays Fats Waller"

関連記事

コメント

非公開コメント