"Black Orfeus:黒いオルフェ"(2006)明田川荘之

 明田川荘之のがっつりしたピアノ・ソロ。オカリーナすら、ない。

 テンポも構成も展開も自由だ。静かな熱狂が、ここにある。

 ソロ・ピアノは"Place Evan"(2002)ぶり。完全ピアノ・ソロアルバムならば"Mr.板谷の思い出"(1999)まで遡る。
 明田川の真髄はピアノ・ソロだと思う。もちろんセッションでの躍動感は捨てがたいし、十分に魅力的だ。けれども共演者のテンポや音楽性を気にせず、まったく自分の世界へ没入するピアノ・ソロの酩酊感は素晴らしい。

 ぼくが明田川のピアノ・ソロを聴くのは、アケタの店の深夜ライブ。夜中の0時をまわり、うっすらと眠気が体にまとわりつく。そこへ静かに、強く、切なく、降り注ぐピアノ・ソロは格別の快感だ。なんど、音楽に酔ったことだろう。
 本盤収録でほとんどを占める06年3月4日のライブには、たまたま居合わせることができた。感想はこちら。素敵な名演ぞろいだったため、この音盤化が嬉しい。

 ライブ感想の記憶が正しければ、本盤の(1)はステージ中盤に演奏された。(2)と(3)はライブ冒頭、曲順はそのまま。ただし(3)の冒頭にあったオカリーナ・ソロは、本CD化にあたりカットされてる。
 (1)の次に演奏が(4)と(5)。たしかこの2曲を続けて、ライブ本編が終わったと記憶する。間違ってたら訂正お願いします。とはいえこの夜、ぼく以外にお客はもう一人か二人だけだった気が・・・。

 しかしこの盤は、すみずみまで素晴らしい。オリジナル曲中心に、のびのびと歯切れよく鍵盤が鳴っている。
 そして唯一のカバー、スタンダードの"黒いオルフェ"。ぼくはいまだにこの曲のメロディがはっきり覚えられない。演奏が始まると、熱い暖かさに浸れるのに。
 
<収録曲>
1.アルプ
2.外はいい天気
3.りぶるブルース
4.黒いオルフェ
5.ブラックホール・ダンシンング
6.ロマンテーゼ

Personnel:明田川荘之(p)

録音:アケタの店 深夜ライブ
1~5 :2006年3月4日
6  ;2005年11月12日



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