"Life Time"(2005)AKETA+斎藤 徹

 明田川荘之の胸掻き毟るセンチメンタルさと、独立独歩の力強さが見事に封じ込められた。飾りっけない斉藤徹とのデュオで、超然で雄大な美しさを披露した。

 斉藤は明田川と似ている。フリーもインテンポもこなし、多様な音楽性を持つところが。もっとも僕の斎藤のイメージは、フリーのほうが強い。あとからタンゴに造詣が深く、譜面ものの美しい楽曲を演奏と知ったが。
 逆に明田川のほうは「フリーもやるが、インテンポ」の印象だ。だから本盤の組合せは、"明田川へ斎藤がフリー手法で近づき、着地点をさぐる盤"かと最初は思った。
 とはいえ斎藤のプレイは乱暴な無秩序では無く、軋みながら美しく自由な低音をはじけさすところが真骨頂と思う。

 本盤はCD2枚組。CD1一曲目の頭を抜いてるような気もするが、休憩入れて2セット構成なはずの、当夜のライブすべてを収録した、と言っていいだろう。ジャズの枠組みや縛りを軽々と乗り越えた、自由な振る舞いが心地良い。
 力強いピアノのアタック。はじけるベースの弦。本盤は実に瑞々しい音色が録音されている。機材が変わったのかな。ベースもグッとオンマイクで録音だ。
 バラバラバラッとピアノの鍵盤をかき鳴らすさま、アルコでじっくりと弦を弾く震えるさま。それぞれが、生々しく耳へ響いた。

 セットリストはまずDisc1 (1)で幕を開ける。当時の新曲。
 前作"サムライ・ニッポン・ブルース"(2004)に続き、無造作に投入した。多様なオリジナル曲を誇る明田川だが、ジャズメンとして、同じ曲を幾度もライブにかける。従って同時期のアルバムでセットリストは似通いがちだが、やはりこの執拗な繰り返し収録は独特だ。どのライブをCD化するか、演奏の段階で何も決めてないためと思う。

 同様のことがDisc 2 (3)にも言える。前々作"パーカッシブ・ロマン"(2004)に続く投入で、しかも前々作は斎藤との饗宴なのに。明田川の大らかさを象徴する。
 逆に新曲がDisc 1(1)。バッハ系のバロック・メロディをオカリーナで演奏するかたち。幾本も持ち替えながら軽やかに吹く明田川へ、斉藤がアルコでベースを奏でる。深く重く、時に鋭くベースを唸らせた。

 あとの楽曲は既に既発盤で発表済の楽曲となる。パーカーのDisc 1(2)は明田川の十八番。他の楽曲も明田川のオリジナルだ。Disc 2(4)でフリー、かつ賑やかに盛り上がり、最後はコミカルにいきなり落す。

 そう、選曲を見るとここに斎藤の色は無い。あくまでリーダーは明田川だ。
 しかし演奏は対等。斎藤はバッキングやサイドメンではない。二人とも相手におもねらず、自分の音楽を素直に提示し、絡ませて高め合った。
 穏やかで落ち着いた、大人同士の親しみこめた対話のように。

<収録曲>
Disc 1
1.クルエルディズ・オブ・ライフ
2.ナウ・ザ・タイム 
3.アフリカン・ドリーム(incl.マライカ)

Disc 2
1.アドリブ1700
2.オーヨー百沢 
3.St.トーマス 
4.アケタズ・ブルース

Personnel:
AKETA(p,オカリーナ)
斎藤 徹(b)

録音:2005/1/25 アケタの店ライブ

関連記事

コメント

非公開コメント