TZ 7395:John Zorn "The Gnostic Preludes" (2011)

 グノシック・トリオの第一弾。静謐なアンサンブルだ。

 ハープとパーカッション、そして揺らぐギターの音色。蕩ける美しさを漂わす。

 作曲家としてジョン・ゾーンは自らが演奏参加しないユニットがいくつかある。その一つが、これ。The Gnostic Trioと銘打ち、断続的だが着実に数枚の盤がリリースされた。2015年にも本ユニットのライブがあり。まだ継続をゾーンは想定みたい。

<Discography>
2011:The Gnostic Preludes(本盤)
2013:The Mysteries 
2013:In Lambeth
2014:The Testament of Solomon 
2014:Transmigration of the Magus

 ビル・フリゼールの繊細でサスティン効いたギターを全面に出したアプローチ。ブライトな音色から歪みを混ぜた場面まで、曲ごとで丁寧に表情を変えている。

 ギターからビブラフォンやハープへとソロが回されてく、ジャズっぽい仕上がりでも、基調のリフを作曲、あとは奏者に委ねるかたち。演奏にはゾーンがキューを送って指揮してるかも。完全なフリージャズでなく、どこかコントロールされてるところに、ゾーンの存在感は残ってる。

  アンサンブルでフリゼールのギターがやはり目立つ。だがビブラフォンとハープだって別に伴奏に徹してない。特にウールセンは積極的にアドリブを入れてきた。
 キュートで繊細、コンパクトで滑らかな即興っぷりが美しい。吸い付くようにギターとハープがたゆたう。残響たっぷりのビブラフォンが、温かく弾む。リズムは揺れながらもタイトさを保ち、端正に膨らんだ。
 メロディは柔らかいけれどもミステリアス。幻想性を振りまき、ハープとビブラフォンの高音が跳ねる。そこへギターの落ち着いた音色で抑える趣向だ。隅々まで考え抜かれた楽曲であり、響き。

 本盤の楽曲は、かなりのとこまで作曲されている。本盤は"前奏曲(プレリュード)"集。後のアルバムに繋がる楽想やメロディ、コンセプトを本盤で示したわけでもないようだ。即興的に書かれた曲集って、ニュアンスかな。
 各種のダビングがありだろうか?カッチリと構成は決まってる。テーマの合奏もユニゾンと対位的なアプローチが交錯し、手が込んでいる。いわゆる旋律とコードを決めただけでなく、各パートの譜面がきっちりありそうだ。 

 Wikiによるとそもそも前奏曲とは、即興性を重視したものという。17世紀後半のフランスのクラヴサン音楽では、プレリュード・ノン・ムジュレと名付けられ、譜面には音の長さを書かず、即興を重視した様式もあったという。むしろこっちのほうが、ゾーンは意識してるかも。
 とはいえ一方でミニマルな譜面をカッチリ書いたテーマなところが、皮肉というか二面性が効いている。

 畳み込むビブラフォンの旋律をハープが冷静にいなし、奔放でファンキーなギターがそっと貫く。しみじみと素敵な音楽だ。

 2013年9月28日、メトロポリタン美術館でのライブ映像があった。


Track listing:
1. "Prelude 1: The Middle Pillar" 6:39
2. "Prelude 2: The Book of Pleasure" 6:05
3. "Prelude 3: Prelude of Light" 5:56
4. "Prelude 4: Diatesseron" 4:35
5. "Prelude 5: Music of the Spheres" 8:13
6. "Prelude 6: Circumambulation" 6:33
7. "Prelude 7: Sign and Sigil" 6:22
8. "Prelude 8: The Invisibles" 3:35

Personnel;
Carol Emanuel - harp
Bill Frisell - guitar
Kenny Wollesen - vibraphone

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