TZ 7380:The Dreamers "Ipos: The Book Of Angels vol. 14"(2010)

 アルバムのたび奏者を変える、第二期Masada"The Book of Angels"316曲を演奏のシリーズ。第14弾はジョン・ゾーン演奏不参加にして企画ユニット、ラウンジ・ジャズのドリーマーズが登場だ。


 実はドリーマーズも、エレクトリック・マサダとは違う観点で鬼門だ。聴いてて、構造を読めない。つるっと音楽が耳に入り、気が付いたら曲が終わってる。瞬間の折々に「ああ、かっこいいソロだな」とか、「綺麗なアンサンブルだな」とは思う。
 けれどもあまりの耳馴染み良さに、つい聴き流してしまう。

 ドリーマーズの演奏は格別だ。ゾーン周辺ミュージシャンでも指折りのテクニシャンが揃い、タイトで滑らかな音楽を紡ぐ。楽曲も非常にコントロールされている。ライブだとゾーンが指揮してるが、構成や表情にキューを送る程度。
 まさにゾーンが、第一の聴取者に見える。自分が聴きたい音楽を、腕を振るだけで操ってるような。王侯貴族に似た贅沢さを覚える絵ヅラだ。

 このバンドはアドリブがふんだんに取り入れられる。マーク・リボーのギターを筆頭に。音色は決して砂糖細工じゃない。ディストーションをちょいと利かした激しい音色だってある。フレーズも拍をくいくい跨ぐシンコペートたっぷりのスイングだ。
 ビブラフォンと鍵盤の流麗さもたまらない。闇に溺れること無く、密やかにクールでスリリングな音像を出す。
 
 リズム隊もバッチリ。拍を微妙にずらすジョーイ・バロンの訛ったリズムを、シロ・バティスタが逆の揺らぎ持ったタイトさで包み、トレバー・ダンがメロディアスなフレーズでがっしりと揺らす。
 この過不足なく上品で鋭い6人の、妙なる響きがドリーマーズの魅力だ。

 ああ、やはり気づいたら曲が終わってしまってる。譜面の整いっぷりからアドリブへどんどん雪崩れる。全員が即興風に弾いても、音は混じることが無い。これがゾーンの指揮ゆえか。

 全10曲、2曲の7分越え尺を除けば数分の短い演奏ばかりを端正にサクッと並べた。小気味よいミドル・テンポが耳へ優しくなじむ。
 演奏曲はこのシリーズの常として、全て本盤のみで聴ける新曲ばかりだ。

Personnel:
Cyro Baptista: Percussion
Joey Baron: Drums
Trevor Dunn: Bass
Marc Ribot: Guitar
Jamie Saft: Keyboards
Kenny Wollesen: Vibraphone

これは本盤収録(3)のドリーマーズによるライブ音源。2013年のゾーン生誕60周年ライブにて。


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