TZ 7368:Medeski Martin & Wood "Zaebos: Book of Angels Volume 11"(2008)

 アルバムごとで編成や奏者を変える、第二期Masada"The Book of Angels"の316曲を演奏シリーズ、第11弾はジャム・ジャズバンドのメデスキ、マーティン&ウッドを起用した。

 ある意味、非常に聴きやすい盤だ。曲ごとに表情を変えながら、分かりやすい"ジャム"演奏をたっぷり詰め込んだ。本盤発売時点でMM&Wは既にベテラン、手慣れつつスリルが詰まってる。

 一曲当たり3~7分くらいで全11曲。深く即興を煮詰めるよりも、次々と料理してく小気味よさを選んだ。インプロはテーマから自由に飛翔しつつも、旋律のニュアンスは外さない。このへんはさすが。

 本盤の演奏曲は全て、別の同シリーズで再演無し。何度も書くが、1~2曲くらいは違う編成でのアレンジ妙味を味わいたいもの。

 がっつりファンキーなオルガン強打がうねるベースやドラムとバトルする(1)から、アラビックなユダヤ風メロディを鋭い鍵盤の音色で緩やかに奏でる(2)へ。
 荒っぽく暴れるドタバタなビートの(3)とアルバム構成は緩急に富む。
 オルガンだけでなく(4)はピアノで歯切れよくアドリブをはじけさせた。ここで4ビートに向かわず、フリーにぶいぶい言わせるベースとドラムがMM&Wの個性。

 マーティンもドラムだけでなく(5)ではウッド・ブロックなどパーカッションも混ぜたセットを使った。(6)ではじっくりとドラム・ソロも。拍頭を揺らすような、幅広いテンポ感のビートだ。
 思い切りサイケな(9)ではビート感を冒頭は消し、断片的にプログレ風のリフを叩きこむ。この曲も前のめりさが良いな。(10)も同様の抽象ビートで、漆黒の不穏さを演出した。木管楽器風の鍵盤がドラマティックさを演出する。そしてメドレーで(11)へ。最後まで飽きさせない流れだ。しかも最後はピアノ演奏で渋く決めた。

 アルバムを通してまず、前面に出たのはメデスキのシンセだ。音色を曲ごとに次々変える。一方でベースやドラムも決してリズムに埋まらない。積極的にフレーズを溢れさせ、ときにタイトなキメも付ける。豊潤なアンサンブルだ。
 ジョン・ゾーンの疑似バンドにある精錬な構築とは異なる、柔軟に展開するしたたかさあり。

 小細工なしに、剛腕オルガンをはじけさす痛快さと、野太く唸るベース。バタつきながらも着実に支えるドラムと、三者三様の個性がはみだしながらも、まとまった。

Personnel:
John Medeski - keyboards
Chris Wood - electric bass, bass
Billy Martin - drums, percussion


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