"Live In Netherlands"(2004)AKETA with IKKI orchestra

 明田川荘之の2枚目海外ライブ盤である。大編成な多国籍オーケストラが味わえる。

 21世紀になり明田川は周辺を埋めるようなアルバムを次々出してきた。具体的には以下の盤たちだ。

A:2001 "思い出のサロ ~ アケタ・ライブ・イン・フィンランド"
B:2002 "Place Evan"
C:2002 "大勘定"
D:2003 "2つのオカリーナ祭りから・大工哲弘と西都古墳"
E:2004 "Live In Netherlands"
F:2004 "パーカッシブ・ロマン"
G:2004 "サムライ・ニッポン・ブルース"

 AとEで海外でのライブ音源を、音楽性の高まりというより貴重な記録としてリリース。Bは自レーベル以外に音盤を委ねた、いわば未CD化ソング・ブックな位置づけ。
 Cも海外ライブ盤のように、記録として貴重なセッションを音盤化と捉えた。さらに活動の根底の一つであるオカリーナ関連をDとFで発表した。
 いわゆるリーダー作はFのみ。・・・のみ、ってのもへんか。こんだけ一杯出してるのに。とにかく04年は駆け抜けた印象だった。

 もちろんどの盤も聴き応えあり、音楽的な発見もある。だがそれまでの骨太な「アケタの店のライブから、充実した音源を発表」のコンセプトを拡大した、より自由なリリース形態だったと、振り返りたい。
 そしてこの数年間があったからこそ、続く数年で各種の強烈な"セッション盤"のリリースにつながる。そう、このあと数年は「明田川荘之」でなく「明田川とセッションの音源」的なリリースが続いた。

 さて、本盤。もとは明田川の欧州ツアーが元だ。仏、独、蘭をまわり、これはオランダの音源。残る二か国は今に至るも発売されていない。このページで当時のツアーの様子が報告された。
 
 共演したIKKIオーケストラが今も活動かは、良くわからない。松本和志(Btb)他、オランダ、ドイツ、デンマーク、韓国混成の12人編成ユニットで、ライナーに寄れば03年に活動開始したという。アマチュア・バンドっぽくもあるが。参加メンバーは後述する。
 
 もともと明田川オーケストラは、無闇に凝ったアンサンブルでは無い。元の和声をそのままホーン隊へ振り分け、アドリブを回すオーソドックスなスタイルだ。したがって素直にミュージシャンのスタイルが、あからさまに音楽へ現れると思う。

 本盤では、ぐっと情感を絞って洗練されたサウンドが表出した。後述のとおり選曲は明田川の代表曲がずらり並ぶ。"Lovejoy"の演奏が新鮮だ。
 欧州とアジアの文化圏が異なるメンバーの響きは、重厚にして透明感あり。グッとテンポを落した(2)が典型的だ。純日本調の旋律や響きが、ここでは脂抜きされたように、滑らかに響いた。
 ドラムとベースが韓国勢で、リズム感はさらに混沌とした。

 しかし本盤の音質はひときわ籠っており、PAアウトでなく、オーディエンス録音っぽい響きだ。デジタルっぽい冷たい響きがして、多層ホーン編成なのに迫力がイマイチで惜しい。

 なぜかひときわきれいに聴こえるのが(5)。金管と木管アンサンブルもこなれており、しっとりふくよかにテーマが響く。もしかしてIKKIバンドのレパートリーだろうか?この曲のみ、爽やかなビッグバンド風に響いた。

 なおIKKIバンドは07年の路上ライブで、明田川荘之の"テツ"をカバーする動画があった。アレンジは本盤も参加の松本"Santi"和志。明田川の情感がすっかり抜け、ディキシーっぽくスイングする様子が面白い。

 
 こちらも07年のライブ。IKKIによる明田川の"アルプ"。


<収録曲> 
1.アルプ
2.エアジン・ラプソディ
3.いかるが桜
4.スモール・パピオン
5.ラブ・ジョイ

Personnel:
明田川荘之:p,オカリーナ
Bastian Stein : tp
Bryan Davies ; tp
Wiebke Pahrmann : tp
Louise Jensen ; as
Lars Dietrich : ts
"Shouting" Koen Schouten :bs
Michael Rorby : tb
松本"Santi"和志:b-tb
李誠英:b
Lee Do-Heon:ds

録音:2004/4/18 "De Burcht" Leiden,The Netherlands

おまけ。上と同じ07年のIKKIライブで、渋さ知らズでお馴染みな"股旅"を演奏してた。


関連記事

コメント

非公開コメント