"2つのオカリーナ祭りから:大工哲弘と西都古墳"(2003)AKETA

 明田川荘之はオカリーナ振興の立場でもある。本盤は3種類の音源を集めたコンピ。ここでもライブに拘った。

 アケタ・オカリーナを経営する明田川荘之として、この時期はオカリーナがらみのアルバムを2枚出した。本盤と、"サムライ・ニッポン・ブルース"(2004)だ。オカリーナは滑らかで素朴な響きが全面に出がち。
 明田川のオカリーナはそれを超えたファンキーさを滲ませるところが、ぼくは好きなのだが。特に大編成オカリーナの場合、癖やアクセントは消えて柔らかく、ふくよかな響きが全面に出てしまう。

 本盤はさらに大工哲弘ののどかな沖縄歌や子供の演奏を収録して、ますますホノボノなムードを醸し出した。毒が欲しいぼくには少々物足りない盤なのだが。それでも明田川の演奏が聴ける以上、横には置いておけない。といいつつ、入手したのはごく最近だ。ずっと聴き洩らしてた。

 録音セッションは3種類。3年間にわたる。

(1)~(5)が大工哲弘を招き、32人ものオカリーナ奏者と共演した2001年の録音。
 明田川は指揮をつとめ、ピアノ・カルテットが伴奏を行う。場所は、アケタの店にて。
 いきなり観客(?)の咳払いが入るなど、けっこう荒っぽい録音だ。しかしあのスペースに奏者だけで32人って・・・裏ジャケに写真あるが、相当に込み合った店内だったようす。
 のどかな雰囲気で、緩やかなうねりが続いていく。

(6)は2002年に宮崎県の西都市で行われたオカリーナ・イベントより、子供たちの演奏。明田川は作・編曲とピアノを弾いている。
 自作の"わっぺ"から、過去のアルバムでカバーもしてる国安良夫の"西都"と、さらに自作の"西都旋律輪廻"をつなげた。最後の曲は書き下ろしかな?

 明田川は伴奏と言いつつ、ソロの場面もあり。むしろ明田川の演奏のバックに、子供たちのオカリーナを配したとも聴ける。ピアノ線を直接撫ぜる内部奏法まで、のびのびと明田川は弾いた。
 
(7)~(10)が2003年に西都市民会館でのライブ。上のセッションの翌年に、同じ会場で行われたイベントに参加らしい。ここではドラムとテナーサックスにピアノと、変則トリオ。サックスは後半2曲のみ参加した。
 ドラムの児玉安浩は地元のミュージシャンだろうか。深めの響きで手数多く、2バスでタイトに8ビートを決めた。
 サックスは明田川と縁の深い榎本秀一。コルトレーン直系の熱いブロウを聴かせる。
 
 ぼくとしては、この後半4曲が目当てになってしまう。オリジナルは(10)のみ、ヨーロッパ、特に地中海を連想する甘酸っぱいセンチメンタリズムが噴出した。

 そして(10)で炸裂する盛り上がり。完全にロックのノリでツーバスを踏み鳴らすドラムが煽るドライブ感は、ジャズ色が希薄でむしろ新鮮だ。
 明田川のピアノ・ソロに雪崩れると、8ビートを基調のシャープなドラミングが馴染むか馴染まないか微妙な線で、異様なグルーヴを産み出した。

<収録曲>
1.月の美しゃ
2.花から人へ 人から花へ
3.てぃんさぐぬ花
4.安里屋ゆんた
5.豊年音頭 〜唐船ドーイ〜
6.組曲「都萬」:わっぺ~西都~西都旋律輪廻  
7.トッカータとフーガ
8.Siciliana
9.マック・ザ・ナイフ
10.アケタズ・グロテスク

Personnel:
1~5 
明田川荘之:指揮・編曲・うなり
大工哲弘(唄、三絃)
オカリーナ奏者:帆足たか子、小山京子、山本千恵子、土屋孝彦、山崎万理子ほか全31名津村和彦(g)とゴールデン・オカリーナ・ハーツ : 二村希一(p) 望月英明(b) 木村勝利(ds)

6 
明田川荘之:p,オカリーナ・指揮・編曲・うなり
西都オカリナ・キッズ 総勢60名
神崎紀代美(シンセサイザー)、児玉安浩(ds,per)、

7~10 
明田川荘之:p,オカリーナ
児玉安浩(ds)、
榎本秀一(ts on 9,10)

録音:
1~5 :2001年7月16日 アケタの店“アケタ・オカリーナ祭り”
6  :2002年9月8日 西都市民会館“オカリナ太鼓コンサート”
7~10 :2003年5月10日 西都市民会館“今神楽15周年リサイタル”


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