"大勘定"(2002)明田川荘之・三上寛・石塚俊明

 企画盤っぽく見えたとしても、決して思い付きでは無い。歴史を背負ったセッション・ライブだ。三人の才能が炸裂した。いつまでも聴かれるべき名盤。

 本盤はライブの翌年に他の明田川リーダー作発表をはさんで、ある時ひょっこりリリースされた。理由は不明だが、嬉しい驚きだった。
 フォークの怪人、三上寛と頭脳警察の石塚俊明。そして中央線ジャズのドン、明田川荘之。何とも話題性あるセッションだと思う。このトリオでは10年ぶりに近い、再セッションだ。

 ところがこの日は中央線が事故って、観客の動員がイマイチだった。ぼく以外はカップル1組、合計3人のみ。それだけに、CD化で多くの人にこの猛烈な音源が聴けるチャンスが増えたことが、とにかく嬉しかった。
 つまりこの夜も生で聴いていた。感想はこちら。自慢めいた書き方かも。実際自慢だが・・・特に名演を狙って行ってるわけじゃない。そんなことできたらいいな。たまたまだ。

 このライブ盤は曲順を自在に変えている。(1)の冒頭で拍手が聴こえるとこからも、わかるはず。たぶん(2)が2ndセットの1曲目。他の曲順は覚えてないが。
 (1)と(4)以外は、三上寛のレパートリー。実際、この夜は明田川の曲は控えめで、三上を全面に出したライブだった気がする。もっとも明田川はバッキングの線をはるかに超え、がっぷり組みあうセッション。石塚もパーカッシブにドラムを叩きのめし、三者三様の戦いっぷりだった。
 演奏の圧巻は(4)だと思う。

 三上寛は以前よりアケタの店へ月一で出演し続けた。その相棒が、石塚俊明。さらに当時の石塚は翠川敬基のバンド、緑化計画のメンバーとしてもアケタの店には出演してた。 したがって三人とも、店にはごく滑らかに馴染んでる。気負わず、それでいて激しく。三人は炸裂した。
 とにかく三上寛の存在感と、溢れる独特の言語感覚にやられた。

 "美術館"で二者択一な詞の新鮮な視点、"Thirteen"での鋭いイメージ。"大感情"での噴き出す情感。全てがパワフルだった。
 歌唱では"リンゴ追分"の噴出するエネルギー、明田川の曲へ詞を乗せた"孝と~"の訥々とした詩人っぷりもロマンティックだったな。

 なお本盤からMeta 花巻アケタからメタ花巻アケタズディスクへと、レーベル名やロゴが変わった。製作手法の変化かな?違い環不明だが、いくぶんスッキリしたイメージあり。

<収録曲>
1.婆娑羅
2.孝と北魚沼の旅情
3.サーティーン
4.りんご追分
5.リズム
6.大感情
7.美術館

Personnel:
明田川荘之(p,オカリーナ)
三上寛(vo,g)
石塚俊明(ds)

録音:2001/7/25 アケタの店ライブ


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