"アケタ・ライブ・イン・フィンランド:思い出のサロ"(2001)明田川荘之

 明田川荘之の海外ライブを収めた盤。まさに記録であり、彼の独自性が極端に出た。

 明田川は比較的、土着のミュージシャンだ。日本各地をツアーもするが、拡販みたいな商売っ気は無い。旅で地方のファンへ生演奏を披露する、のほうが意味合いは似合いそう。
 海外ツアーも同様。本盤はどういうきっかけか、市川りぶるのマスターが手配したフィンランドでのライブから。

 本盤は明田川の自主レーベル、META 花巻アケタ・レーベルから発売。CD-Rは本盤から無くなりプレス盤でリリースされた。
 演奏はヘルシンキから西へ車で一時間半ほど。サロのレストラン「レストラン・リカラ」での演奏を、明田川のDAT 1ポイント録音による。場所はここ、かな?
 
 冒頭には司会の女性が明田川の名前を発音に苦労する、ユーモラスな様子が収録されている。
 共演は現地のミュージシャン、ヤリ・ホンギスト(tb)とテッポ・ハウタ・アホ(b)。とはいえ明田川の色があまりに強く出て、真の意味で共演とは言い難い。本当にセッションの妙味が出たのは、フリー色の強い(7)や、(8)の後半のみ。
 明田川はいわゆるテンポ物のミュージシャンだが、世界共通のジャズとは異なる、完全に独自世界を構築している。だからフリーが馴染む、のかもしれない。

 しかし明田川は敢えて、自らの演奏を軸に本盤をまとめた。日本情緒あふれるフレージングとオカリーナが産み出す、エキゾティックさは唯一無二。その強度を痛快と取る聴き方もある。

 音楽自体はソロでは無い。ほぼ全編、トロンボーンとベースが加わってる。1ポイント録音のわりに、ベースやトロンボーンがきれいに聴こえるのも驚異的。明田川の足音と思われる床を踏むビートまで聴こえる。もちろん唸り声も。かなりイコライジングで消してるらしいが。
それでもやはり、音質は良好とは言い難い。

 本盤は明田川の記録、である。他の項でも触れたように、明田川の盤は基本的にライブ盤だ。けれども本盤ほど、ライブの記録っぽい盤は無い。おそらく籠った音質が産む、ブートっぽさがそう感じさせるんだろう。

 本盤のレコ発ライブは2001/10/26にアケタの店で行われた。フィンランドから共演者を呼ぶことは叶わず、日本人ミュージシャンに通り名をつけて。聴きに行ったけど、面白かったよ。感想はこちら

<収録曲>
1.Introduction
2.オカリーナのたのしみ
3.Blue Ocarina Blues
4.I'll Close my eyes
5.チンギスハーンの二頭の駿馬
6.孝と北魚沼の旅情
7.Aketa's Blues
8.南部牛追歌

Personnel:
明田川荘之:p,オカリーナ
Jari Hongisto (tb)
Teppo Hauta-Aho (b)

録音:2001/5/11、フィンランド"レストラン・リカラ"ライブ




ちなみに今、フィンランド側のミュージシャンを検索してみた。

Jari Hongisto (tb) Webはこちら。フリー寄りのトロンボニストっぽい。参加バンドはOLAVI TRIO、KRAKATAU、IRO HAARLA SEXTETなど。KRAKATAUはECMから2枚のCDリリースあるが、その時点で彼は脱退していた。
 フィンランドのTUM Recordsを中心に、今も活動中。Discogsに記載あり。もちろんこの、アケタ盤も。AmazonではOlavi Trioが出てきた。本盤は、後述のTeppo Hauta-Ahoも参加。

このトリオのライブ動画もあった。どフリーな面持ちだ。

 他に彼のライブ映像が、Youtubeでいくつか聴ける。これはFeng Shui Rebelsってユニット名かな?d,b,g,tbの低音強調なアンサンブル。静かで綺麗なジャズを聴かせる。かっこいいな。15年3月の投稿。もしかしたら、今年の録音かも。


Teppo Hauta-Aho(b) 英語のWikiがあった。フィンランドのフリージャズでは重鎮で、作曲も行ってるらしく、Youtubeで色々聴ける。アンソニー・ブラクストンらと共演。上のJariとはTrio Nueva Finlandiaなるバンドでも共演とあった。Discogsは不十分であまり記載はないが、すごい数の参加バンド名クレジットだ。アケタ盤の記載は無いな。

 Youtubeで彼の作曲から、とりあえず一曲。09年出版のコントラバス四重奏曲だ。

Amazonではエヴァン・パーカーとの共演盤が出てきた。

関連記事

コメント

非公開コメント