"スモール・パピヨン"(2000)明田川荘之 & アケタ西荻センチメンタルフィルハーモニーオーケストラ

 明田川荘之は立ち止まらない。学研リリース最終盤は次世代メンバーを集めたオーケストラ。


 アケタの店を長年経営し、古くからのミュージシャン仲間は膨大だろう。けれども明田川は同じ顔ぶれに満足せず、常に新陳代謝をはかる。特に00年前後の明田川は以下の通り、異様なハイペースのリリースだった。

1999 "Mr.板谷の思い出"
1999 "風の色"
2000 "Photonではなく布団・浴衣です!?"
2000 "オドゥン / ×三星天洋~夏ノ日ニ獏ハ浜辺デ夢見ル" 【一部に参加】
2000 "スモール・パピヨン"
2000 "マジック・アイ"

 学研プラッツから離れ、自主レーベル路線のカタログを増やすためもあったと思うが。もともとライブ録音からアルバム化が常のため、月に2回程度行うアケタの店セッションだけでも膨大なテイクが産出される。聴いてる方は、嬉しい悲鳴だ。
 とはいえ今に至るまで明田川は経営者目線を失わない。ネット配信には手を出さず、むやみな過剰カタログ化も行わず。年に1~2枚くらいのペースで、着実にアルバム・リリースを重ねてる。それでも十分なボリュームだが。

 本盤は若手、特に松本健一にスポットを当てた顔ぶれ。水谷浩章の参加も目を惹いた。もっとも水谷はこれ以降、特にアケタと接点は無し。松本は今に至るまで明田川オケの常連になった。あまり単独でアケタの店に出演してるイメージは無いけれど。

 録音はアケタの店恒例、オーケストラのライブ。毎年30日にオーケストラ。31日は夜中に明田川のピアノ・ソロ、そのあと朝までジャム・セッションが恒例だ。

 しかし学研から出たわりに、凄まじく伸び伸びした構成。(3)で明田川がVoの演歌めいた演奏まで飛び出す。(2)の沈んだブルーズも特徴あり。中間部の不安げなギター・ソロが聴きものだ。

 (5)のダウランド"今こそ別れ"も感慨深い。"Airegin Rhapsody"(1987)にも最後にこの曲が収録され、聴き比べできる。
 この当時は、オケのライブでは定番の終演曲だったのかも。僕が観た05年の深夜ライブでは、この曲は演奏されなかった。

 圧巻が(4)の名曲"スモール・パピヨン"。そもそもメロディ自体、大編成ホーンでの炸裂っぷりが痛快なのに。
 加えて津村、明田川、松本と続く三連ソロはスリリングで、間延びは皆無だ。8ビートと4ビートが混ざるファンキーなリズムに乗って、ぐいぐい迫ってくる。

<収録曲>
1.Blue Ocarina blues
2.横浜ドルフィー・ブルース
3.湖畔の宿
4.スモール・パピヨン
5.今こそ別れ

Personnel:明田川荘之(p,オカリーナ,唄)、岡野 等(tp)、津上研太(as)、榎本秀一(ts)、松本健一(ts)、津村和彦(g)、水谷浩章(eb)、楠本卓司(ds)

録音:99/12/30 アケタの店ライブ


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