"マジック・アイ"(2000) 明田川荘之&枕

 明田川荘之はセッション、である。43歳の太田惠資が気鋭の演奏を聴かせる盤。

 本盤は一夜のセッションから4曲を選び、アルバムにした。短くて14分弱、最長で23分弱。比較的長尺の演奏ばかり。のびのびと各人の音楽を味わえる。

 アケタの店で行われる明田川のセッションは、たいがいが一期一会だ。特に00年代は数々の組合せで音楽性を深めてたような気がしてならない。若干のメンバーかぶりがあるものの、違う編成、異なる顔ぶれで、音楽を伸び伸びと広げてた。そこに緊張感は無い。あくまで気負わず、のびのびと。

 本盤は前作"Photonではなく布団・浴衣です?!"(2000)に続き、立て続けにリリースされたCD-R盤。宮野裕司(as)の共通性あるため、ユニット名も引っかけて「枕」。とはいえ別に継続性は無かったと記憶する。
 宮野はライナーであるように、明田川との共演は多い。今も明田川オーケストラに欠かせぬメンバーだ。ここでは太田の参加が耳を引く。
 
 この当時たぶん、太田はライブハウスで毎夜セッションを繰り広げるも、じっくりライブ演奏を聴ける盤は無かったはず。膨大なアルバム・セッションやサイドメン参加はあったけれど。そんな中、本盤は貴重だった。
 アコースティックとエレキ・バイオリンを持ち替え、ボイス・パフォーマンスを混ぜる。奔放で雄大な太田の演奏は、じっくり聴ける。ともすれば気負うほどの熱さも魅せつつ。

 宮野は穏やかな独特なサックスを響かせる。彼の音色は詰まったようなふくよかさが特徴だ。バリバリとリードを震わせず、ふっくらと丸み帯びている。
 アドリブのメロディ使いは柔らかく優しい。穏やかでじわじわと沁みる美学を持つ。
 
 選曲面では(2)を除き、明田川のオリジナル曲。秘かに『怒涛の三大傑作』と呼んでる残りの1曲、"アフリカン・ドリーム"は本盤に収録。前作"Photon~"と併せて聴けば、"エアジン・ラプソディー"、"スモール・パピヨン"と、まとめて聴ける仕組みだ。

 ほんとにライブの記録、って感じ。(1)の終盤で破裂音がして、太田の笑う声も収録あり。ピアノの中に、何か落ちた音っぽい。オカリナでもこぼれたかな。

<収録曲>
1.わっぺ
2.西都
3.マジック・アイ
4.African Dream
Personnel:明田川荘之(p,オカリーナ)、宮野裕司(as)、太田惠資(vln,vo)

収録:1999年9月15日、アケタの店ライブ

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