"Photonではなく布団・浴衣です!?"(2000)明田川荘之 &布団

 明田川荘之はダジャレである。本盤はPhotonとのセッション、CD-R第二弾だった。

 本盤ではピアノ・ソロと6人編成の差異がもたらすダイナミズムの落差、通底する抒情性の噴出、そして個々のアドリブが炸裂するパワー。静かに包み込む日本風味の暖かさ。 そんな相反しかねぬ多様性を、繊細かつ躍動的に封じ込めた傑作だ。

 アケタの店スケジュール表しかり、明田川のエッセイしかり。しばしば明田川謹製のダジャレが書きこまれてる。本盤も共演ユニットPhotonにひっかけて「布団」、さらに引っかけて「浴衣」。
 さらにさらに引っかけて、続くリリースのユニット名が「枕」。怒涛のダジャレ連発だった。

 本盤はジャケも温泉旅館と思しき場所で、浴衣姿でビール片手に付き添う明田川。言っちゃなんだが中年男の寛ぎスナップ。前作"Mr.板谷の思い出"で、スーツ姿でキメた姿とのギャップが激しい。
 CD三作続けて、ギャグを重ねるジャズ(?)な姿勢にも、当時は衝撃を受けた。なんだこりゃ、と。

 音楽は素晴らしい。いや、ジャケットが素晴らしくないとか、そういうことを言いたいんじゃないぞ。

 本盤の共演Photonは林栄一(as)、関島岳郎(tuba)、中尾勘二(cl,as,etc.)、のユニット。
 コンポステラから派生し、他界した篠田昌已(生向委,JAGATARA,コンポステラ,etc.)の楽曲を中心にレパートリー、がコンセプトのバンドでアルバム"PHOTON"(1999)を残した。
 ただし本盤ではPhotonに加え宮野裕司(as)と、大原裕(tb)と拡大編成。従って「Photon→布団」と名称変更が行われた。と、まじめくさって解説するもんでも無い。
 
 なおこの編成に加え、つの犬(ds)、船戸博史(b)も加わった"布団・拡大オーケストラ"沖縄ライブのスナップも、本盤には収録有り。音源は無し。残念。

 さらに本盤は、明田川荘之の深夜ピアノ・ソロ音源から2曲、収録された。敢えて"布団"ライブで終わらせずでなく、アルバムの構成を意識した構成だ。ちなみにこの録音は、ぼくが初めて彼のライブを聴いた日の音源だ。発売当時、なんか嬉しかった。

 本盤に通じるのは切ない日本情緒。ピアノでもコンボ編成でも、身をよじるセンチメンタリズムを、聴くたび常に感じる。どこか切迫して弛緩を許さない。けれども寛ぎはある。
 選曲は明田川の代表曲"スモール・パピヨン"と"エアジン・ラプソディー"の二大曲を収め、非常に豪華なもの。"スモール・パピヨン"は同時期に出た同名アルバムで、違う編成のオーケストラと聴き比べられるおまけもあり。
 "エアジン・ラプソディー"の終盤はドラム・ソロの切れ目で唐突に遮断する面白さも、盤に刻まれた。

 そう、この時期の明田川はとにかく豪勢で怒涛だった。アルバム同士に繋がりを持たせ、迸るアドリブとグルーヴをさまざまなアプローチで楽しめる。このときの明田川は爆発してた。そして以降は自らの音楽を、セッションを軸にずぶずぶと深めていく。

<収録曲>
1.いかるが桜
2.スモール・パピヨン
3.リンゴ追分
4.Airegin Rhapsody
5.Blue Monk

Personnel:
明田川荘之(p,オカリーナ)
on 3,5 林栄一(as)、関島岳郎(tuba)、中尾勘二(cl,as,etc.)、宮野裕司(as)、大原裕(tb)

録音日:アケタの店ライブ
1,3 2000/1/27、2,4,5 1999/6/20

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