TZ 7016:Elliott Sharp "XenocodeX"(1995)

 NYの怪人、E#のTZADIK初登場版にして弦楽四重奏曲。

 エリオット・シャープは膨大なリリースと多様な音楽性、前衛インプロの雄でジョン・ゾーンと通じるものが多い。けれども商売っ気の希薄さと、コンセプトとして音楽活動の統一性が薄いため、いまひとつ全貌がつかめない。
 コンセプトに合わせバンドや編成を変えてるようだが、今一つ色が見えづらい。ゾーンのようにレーベル統一でアーカイビングもせず、多数のCDを概要で把握できないためだ。 音楽そのものも、プロデューサー要素にムラッ気あり玉石混交。ミュージシャン体質、なんだろう。

 TZADIKでは以下の盤をリリース。クラシック的なアプローチを発表する場として、緩やかに、微かにつながってるようだ。

1996:XenocodeX
1997:Figure Ground
1997:Revenge of the Stuttering Child
2001:Suspension of Disbelief
2003:String Quartets 1986–1996
2008:String Quartets: 2002–2007

 本盤はThe Soldier String Quartetを招き現代音楽のアプローチに、E#のギターを重ねた実験作品。The Soldier String Quartetはメンバーを変えつつも、85年頃から活動を続ける弦カル。
 E#のみならず、ぼくの好きなバンドGuided by Voicesのレコーディングにも参加してる。

 本盤でE#は作曲に留まらず、演奏にも加わった。
 (1)はオーストリアのArs Electronica委嘱曲で、リアルタイム変換がテーマらしい。弦カルがミニマルなフレーズを奏で、E#はMidi コントローラのBuchla Thunderを操り作曲した。
 Buchla Thunderとはこういうものらしい。各キーに各音源を割り当て、パッド操作で音楽構成か。


 本曲では弦カル以外に電子音っぽい響きも聴ける。ライナーによると別サンプリング音源を、本機械で混ぜてるらしい。即興的な危うさはあるが、緊張したムードの幻想性は悪くない。

 (2)は92年にミュンヘンでの"Radical Jewish Music"フェス用に作曲した楽曲。なおこのフェスはジョン・ゾーンの仕切りみたい。委細は不明だが。
 
 インナーへ記載の楽譜が、この楽曲用だろうか。もしそうならば、ブロックごとに構成を変えていく、構築されたもの。各場面で譜面を元に弦カルが音を出し、盛り上がりや転換をE#が作曲した。

 E#は音を足すが、バッキングとソリストの構図でなく、全体で混沌をつくる。非常に細かく分析しながら聴いたら面白そうだが、一聴は抽象的なうねりがじわじわ続く。
 耳ざわりはちょっとハードル高いが、けっしてアイディア一発の安易なものではない。繊細なつくりであり、ミニマルと抽象性が上手い具合に溶けた、不思議な響きの作品だ。
 しかしやはり、E#は少々敷居が高い。ポップさとは逆ベクトルだ。

Personnel:
Elliott Sharp: Buchla Thunder on 1
Fretless Guitar, Clarinet on 2

The Soldier String Quartet
Dawn Buchholz: Cello
Regina Carter: Violin
Judith Insell: Viola
David Soldier: Violin


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