"御縁"(1994) 三上寛/友川かずき

 明田川荘之の、貴重なサイドメン参加盤である。

 1994年5月7日、日本青年館大ホールで行われた三上寛と友川かずきのジョイント・ライブ。
 灰野敬二の出演告知もあったが、急な都合で灰野は欠席の経緯らしい。惜しい。当日の映像もあるらしいが、見たことは無い。

 どういう切っ掛けか、フォーク界の大スターで異形の三上寛と、明田川の縁は深く長い。今に至るまで三上寛は、石塚俊明(頭脳警察,ex 緑化計画)とのデュオで、アケタの店へ出演が続いてる。

 この二人に明田川荘之を加えたライブ盤"大勘定"(2002)もあり。
 灰野敬二の本に掲載なライブ記録によれば、90~91年には三上+明田川に灰野敬二での編成で横浜エアジンなどに出演。95年には三上+石塚に灰野でアケタの店へ出演もあった。その後も2014年の40周年ライブなどで、三上と明田川の饗宴は断続的に続いてる。

 日本情緒をジャズに取り入れる明田川のセンスが、どっぷり東北情感を絞り出す三上の味わいと、音楽は凄く親和性あり。不思議なものだ。

 本盤は1~6曲目が三上のパート。残るは友川のパート。13曲目で共演の構成だ。だんだん編成が増えるアレンジを採用しており、明田川は梅津和時と石塚と共演する形で、数曲のみに参加した。

 本盤のブックレットは曲ごとの参加ミュージシャン記載がない。ネットで調べると、明田川の参加は5、6、13、の三曲のみ。あとは友川側のピアニスト、永畑雅人が演奏した。
 いかにも明田川は三上寛がわのピアニスト、な立ち位置。いっそ清々しい。
 
 ここでは明田川の視点な感想のため、参加した3曲のみ、触れる。

 (5)はスタンダードの"サマー・タイム"かな。三上流の独特な湿ったコード感で、すっかり三上の色に染まってる。他には三上/吉沢元治/灰野のアルバム"平成元年Live! 上"(1990)や三上のソロ"花も嵐も踏み越えて"(2014)で取り上げた。

 (6)"グルの岬"は"女優"(1992)収録の"グルの御崎"と同じ曲だろうか。あいにく"女優"は未聴でコメントできず。

 (13)は"ヤマウター月の下の幕の内"のメドレー。前者が"まぼろしと遊ぶ"(1993)収録な友川の曲、後半が三上の曲と思われる。"月の下の幕の内"は調べた限りだと、三社名義の"無線/伊豆"(2006)まで収録が無いようだ。
 なお三社は三上、石塚に浦邊雅祥が加わったユニット。

 この曲はベースに吉沢元治も加わり、がっつりジャズなイメージだ。友川の東北弁を塗りたくる湿ったムードが、梅津のサックスに導かれてフリーな世界へ。明田川のピアノも聴こえる。クラスターをさっそくぶちかました。
 それまでピアノを弾いてた永畑雅人は、アコーディオンに持ち替えたみたい。

 いったん静まり、三上のエレキギターへ。落差を付けた風景の塗り替わりがスリリングだ。クラリネットに持ち替えた梅津と、オカリーナを吹く明田川が柔らかく空気を震わせ、アルコ弾きのベースが伸び伸びと鳴った。

 最後はもういちどクラスターで明田川は鍵盤を叩きのめす。とはいえサイドメンとして、どこか抑えた録音やミックスだ。明田川ファンとしては、ちょっと物足りない仕上がり。

Personnel:
Piano, Ocarina - 明田川荘之 (on 5, 6,13)

Guitar, Vocals - 三上寛 (on 1 to 6, 13)
Drums, Percussion - 石塚俊明 (on 3 to 8, 13)
Alto Saxophone - 梅津和時 (on 5 to 8, 13)
base - 吉沢元治(on 12,13)

Guitar, Vocals - 友川かずき (on 3 to 13)
Accordion, Piano 永畑雅人 (on 7 to 11, 13)


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