TZ 7363:Erik Friedlander "Volac: Book of Angels, Volume 8" (2007)

 アルバムごとに異なるアレンジで、Masadaの第二弾の全316曲を演奏するシリーズ"The Book of Angels"。第8弾はチェロ独奏だ。
 

 演奏はお馴染みエリック・フリードランダー。さすがにジョン・ゾーンが指揮のクレジットも無く、自由にフリードランダーの解釈へ演奏を委ねたようだ。彼はなんだかんだで、Masada関連の録音参加も多い。
 Masada String Trioでは、"50th BirthdayのVol.1"(2004)を手始めに、"Vol.2: Azazel"(2005)と"Vol.16: Haborym"(2010)で。Bar Kokhbaでは、"Bar Kokhba"(1996)と"50th BirthdayのVol.11"(2005)がある。そして、本作となる。
 テクニックと即興力。そしてゾーンとの親和性ゆえか。

 なお収録の12曲は、他のMasada関連盤とかぶらない。本盤のみで聴ける。メロディは時に聴き馴染んだような気もするが、異なる曲のようだ。旋法でゾーンは作曲と思うが、すべては異なるメロディみたい。

 バッハの無伴奏チェロみたいにふくよかなフレーズで幕を開けた。あまり長尺に走らず、数分でどの曲もまとめた。ピチカートに弓弾き、根底にあるのは暖かく懐深い歌心。
 チェロ特有の麗しく温かい音色を、存分に操った。リバーブを効かせた音像は、淑やかで頼もしい。

 センチメンタルさは滲むに任せ、むしろクールな演奏だと思う。無闇にテンポを揺らさず、淡々と音楽を紡ぐ。けれどもメロディの力や音色の連想に、確かなテクニックが自然と情感を滲ませた。
 独奏ゆえのわずかなピッチの揺れが愛おしい。単調になりがちな独奏なのに、本盤は全く飽きない。チェロのもつ楽器力と、フリードランダーの奥深いインプロの実力が、とても聴き応えある即興ジャズに仕立てた。

 そう、本盤はクラシカルな響きが先に立つ。無闇にキイキイと楽器を軋ませたフリージャズの厳しさは無い。けれども聴いてて感じるのは、スイングするノリ。クラシックの格調や厳かさとは少々異なる、グルーヴがある。

Personnel:
Erik Friedlander: Cello

Masada独奏の映像は、やたら遠いオーディエンス録音しかなかった。

間近で見たい人へ、曲は違うがこんな映像も貼っておく。


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